京都に来たら一度は行きたい和菓子の老舗名店 「甘いもの嫌いな人」も喜ぶ美味絶品の数々
しかし、そのなかでも注目すべきは、出町柳・出町桝形商店街の入り口に店を構えている「ふたば」の豆餅について語っているくだりだ。行列の嫌いな京都人が並んでまで求める「心の京菓子」である、とのこと。
豆餅とは、東京では豆大福と呼んでいる餅菓子である。文京区音羽の「群林堂」が有名で、かの藤原正彦が「日本一美味しい」と絶賛した餅菓子だが、それよりも小ぶりで甘さもほどほどというのが「ふたば」の豆餅である。
両者の違いをニュアンス込めて表現できるほどの回数を私は食べていないので、ざっくりとしか評することができないが、群林堂の豆大福に慣れていると、「ふたば」のほうは物足りなく感じるかもしれない。群林堂の豆大福は、俺が、俺が、と濃厚な味を主張しているのに対して、「私なんか」と控えめに下がっているという感じだろうか。それを京都風と捉えてもいいかもしれない。
ついでに言うと、京都ではラーメンチェーン「天下一品」を生み出す強烈でえぐい方向と、淡泊で上品な方向と、両極端な風土があると前にも述べたが、政治の風土も同様で、 京都では自民党が多数を占めるのは他県と変わりないが、一方で共産党が強いという伝統がある。
「安藤広重の絵」が描かれた美しい一品
お菓子というと、どうしても甘いものに限られてくる。野菜も料理も甘いイコール美味しい、そして甘いことは良いとされる風潮に、糖尿持ちでなくても、うんざりされている方々は多いはずだ。甘いものが苦手という方も想像以上に多いのだ。そういう人のために、私が一押しの京都のお菓子を紹介する。京都人ならずとも知っている人は多いだろうが、柳馬場通四条上ル「ぎぼし」の「吹よせ」である。
これは数種類のおかきや昆布菓子を集めたパリパリのお菓子だが、湿気が大敵なので、ふた缶に詰められて販売されている。使用後の缶の使い道がなくて困るが、缶の蓋には安藤広重の絵が描かれていて美しく、捨てるのに忍びない。それで、いつしか広重が積み重なっていくのだ。一番小さい缶で1300円ほど、誰にも喜ばれる普段使いの一品である。
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