慶応卒ゲーム女子の起業が映す「変化」の変質 多様性の時代に潜むグローバル化の罠

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「変化の主体」になれる女性を育てる視点とは? (写真:ふじよ/PIXTA)

女性の活躍や男女共同参画社会といわれる一方で、現実社会ではいまだに女性が圧倒的に不利な立場に置かれやすいダブルバインドな状況です。そのなかで自己実現を果たすにはどうすればいいか。

拙著『21世紀の「女の子」の親たちへ 女子校の先生たちからのアドバイス』 の取材では名門女子高のベテラン先生たちに「女の子」の親としての心得を聞ききましたが、そのうちの1人、洗足学園中学高等学校の宮阪元子先生は、「働く」ということが意味しているものがすでに変わってきているのではないかと指摘します。

これからの「人を動かす」やりがいとは?

「かつては大量に生産して大量に消費させることこそがいいビジネスとされ、そこに身を投じることがやりがいとされてきた時代がありましたが、いまはもう違ってきている気がします。仕事そのものに喜びとか幸せを追求し始めている社会人が増えているような気がするんです。一線で活躍している人たちも企業理念も、そういう方向に変わってきていますよね。それは卒業生たちが働いている姿を見ていても感じるんです」

例として、ある卒業生の話をしてくれました。

「彼女は慶應の文学部に行きました。でもインターネットとゲームが大好きで(笑)。モバイルゲームの会社でインターンをしていました。そのままそこに就職して、女性向けゲームでヒット作を出しました。その道で行くんだと思っていたら、いきなり起業したんですね。人間が生きていくために必要なことを考えたら衣食住だと思い至ったらしくて。そのなかでも自分がいちばんわくわくしたのが食で、そこにスポットを当ててみんなに喜びを与えられたらいいなと考えて、レシピを紹介する動画サービスを立ち上げたんです」

それがレシピ動画サービス「デリッシュキッチン」です。

「このまえ学校に来てくれたときに、『いま、どんなことが楽しいの?』と聞いてみたんです。そうしたら『集まってきてくれた人たち、つまり従業員ですけれど、彼ら1人ひとりが自分の持ち味を発揮して成長していってくれる姿を見るのがすごく楽しい。さらにいろんな人がサービスを見て楽しいって思ってくれるのがうれしい』って言うんです。まだ30歳になるかならないかなのにすごいなと思いました」

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