「乳酸菌などの摂取が免疫力を高める」との情報について、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の千葉剛教授は「免疫力という言葉の定義はあいまいだ」として注意を促す。免疫力が上がるといっても、試験によって指標が異なるからだ。
例えば免疫系物質Aの濃度が高まることを根拠とするところもあれば、物質Bの数が増えることを根拠とするものもあり、「何がどれだけ上がれば良い」といえるかの一律の指標がない状態だという。また、新型コロナへの効果が検証された商品は現段階では存在しないため「免疫力が高まるから、または別の病気に効果があるからと言って、新型コロナにも効くというのは飛躍がある」(千葉教授)。
いつもとは違うことがしたい?
明確な予防効果の根拠がないにもかかわらず、消費者が買い求めてしまうのはなぜか。現段階で効果的な予防策として厚労省などが推奨するのは、石鹸による手洗いとアルコール消毒、人混みを避けること、十分な睡眠をとること、バランスの良い食事をとることなど、基本的な感染症対策だ。ただ、これらが「当たり前すぎて物足りず、プラスアルファでいつもと違うことがしたいのだろう」と、千葉教授は見る。
「プラスアルファ」を求めた結果、特定の食品を摂取しすぎて栄養バランスが偏るなどし、健康状態が悪化しては本末転倒だ。また、「これを食べているから大丈夫」「これを身につけているから感染しないだろう」といった過信も避けるべきだろう。今は、特定の製品や食品による予防はありえないことを念頭に置き、基本的な感染症対策を徹底するしかない。
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