「羽田就航延期」の豪ヴァージン、コロナで破綻 オーストラリア2番手、経営不振に追い打ち

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VSが運航していたロンドンと日本を結ぶ便は、ファンは多かったものの残念ながら2015年2月をもって休止されてしまった。しかしその後も引き続きロンドンの2空港をハブ(運航拠点)に、アメリカ各地をはじめ、主要なビジネス路線のほか、リゾート地など計30都市への運航を続けている。

VSの創立は1984年。当初は、今で言うところの格安航空会社(LCC)を目指していたが、既存航空会社に戦いを挑む中、いつしかメジャーなフルサービスキャリア(FSA)のひとつとして、従来からのフラッグキャリアと肩を並べる規模にまで発展した。現在は2列の通路を持つ大型のワイドボディー機のみ37機を保有している。

オーストラリア2番手に成長

VAの歴史は2000年に始まる。ブランソン氏は同年、オーストラリアでLCC子会社「ヴァージン・ブルー」を設立。翌2001年9月、日本にも就航していたアンセット・オーストラリア航空が営業を休止したのを受け、同社の顧客の受け皿として国内線で規模を拡大した。

ヴァージン・オーストラリアのA330-200型機(写真:ヴァージン・オーストラリア)

創業時はLCCだったものの、やがてオーストラリア2番目のFSAとしての地位を確保。2011年には社名をヴァージン・オーストラリアに変更し、カンタス航空(QF)に次ぐオーストラリア第2の航空会社として、米国線をはじめとする国際線も運航する規模に成長した。国内線ではQFが58%のシェアを維持するのに対し、VAは31%と善戦している。

ただ、VAの持ち株会社ヴァージン・オーストラリア・ホールディングスの資本構成を見ると、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空、ニュージーランド航空、そして中国で航空会社に出資する南山集団、さらに中国で海南航空を運営する海航集団がそれぞれ20%前後を出資しており、この4社で80%以上を占めている。ブランソン氏率いるヴァージン・グループの出資比率は10%強でしかない。

それでも「ヴァージン」の名を維持しているのは、航空業界におけるブランド力が大きいからにほかならない。

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