新型コロナウイルスの拡散に対し世界中が対応に追われている中、北朝鮮も「コロナ事態」への対応強化を強く打ち出した。北朝鮮は現在、「新型コロナウイルス感染症患者は1人もいない」と主張するなど、「コロナ清浄国」を自称しているほどだ。それでも、世界的に拡散の勢いが止まらない新型コロナウイルスの脅威に対し、最近開催された重要会議で改めて、強力な対応が必要と判断している。
国会でコロナ対応強化を決定
北朝鮮は2020年3月下旬、「4月10日に第14回第3期最高人民会議を招集する」と発表した。最高人民会議は日本の国会に当たり、北朝鮮国内から700人近い代議員が首都・平壌に集まる国権の最高機関だ。実際には4月10日に開催されず、翌11日に「朝鮮労働党政治局会議」を開いたうえで、12日に開催された。ここで、コロナ事態への対応と思われる議題が設定され、討議されたことがわかった。
北朝鮮の最高人民会議は、事前に政治局会議といった朝鮮労働党の主要幹部が集まる場で討議されるべき議題などが話し合われる。そのため、「政治局会議→最高人民会議」の順で行われたのは、北朝鮮にとっては通常の流れだ。ただ、なぜ4月10日に行われなかったのか、その説明はない。メディアなど北朝鮮関連の情報を総合的に見ると、コロナ事態による行事日程の延期などは、現在の北朝鮮では日常茶飯事のようだ。そのため、国家的行事が遅れることはそれほど違和感なく北朝鮮でも受け止められている。
4月11日の政治局会議では、「世界的な大流行伝染病に対処してわが人民の生命の安全を保護するための国家的対策をいっそう徹底的に講じることについて」が議題として決定されたと発表した。ここで「大流行伝染病」とは新型コロナウイルス感染症を指す。政治局会議の内容を見ると、新型コロナウイルスが「全人類的な大災難へと拡大している」と認識し、「ウイルス感染の危険が短期間で解消されるのは不可能だ」と判断している。そのため、「ウイルスの流入を徹底的に遮断するための国家的な対策を引き続き厳格に実施することが強調された」という。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら