「夏まで持たない」窮地のミニシアター救えるか

多くの映画関係者が資金集めに精力的に動く

名古屋で営業するミニシアター、シネマスコーレは4月13日からの休業を決定した。

同館に勤める坪井篤史副支配人は、「(愛知県が10日に出した)緊急事態宣言が出る前から各回1ケタの動員でした。ゼロの回もありました。宣言が出てからも変わらず、各回1ケタの印象が強いです。今思えば、1ケタでもよく劇場まで足を運んでくださったお客様に感謝」と振り返る。

今回の騒動で、シニア世代がコロナに対して敏感となり、劇場に足を運ぶ人が減ったということも大きかったという。これを受けて、「1カ月の休館でもかなり苦しいところですが、これが3カ月続けば閉館に追い込まれる」(坪井副支配人)と危機感を抱いている。

「現状の政府の支援策では足りない」という声もある。

政府は「持続化給付金」として、「法人は200万円・個人は100万円」(ただし昨年1年間の売上高からの減少分が上限)を表明した。その対象は「新型コロナウイルス感染症の影響により、前年同月比で売上高が50%以上減少している者」だという。

しかし、映画館運営、配給業務などを行う映画会社アップリンクの浅井隆代表はツイッターで「国が言っている、中小企業に最大200万円、都の協力金2営業所で100万円、合計300万円では、渋谷と吉祥寺の映画館の、休館中の家賃はまかなえません」と窮状を訴えている。

そして浅井代表は「映画製作には文化庁の助成金があり、クールジャパンなら経産省が管轄している。しかし、映画館は公衆衛生の観点から厚生労働省の管轄になっている。しかし、映画が文化というのならそれを上映する映画館、特に映画の多様性を担うミニシアターには文化庁の助成を考えてほしい」といった趣旨のメッセージを発信している。

ミニシアターが作品公開の受け皿に

韓国映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞作品賞を獲得したときにも話題となったことだが、日本の政府は、クールジャパンを標榜しているわりには、これまで大した文化支援をしてこなかったというのは多くの人が指摘している。それは、映画のみならず、伝統芸能や文化財などの支援をすべき文化庁の一般会計予算が年間で1000億円強しかないという点からもうかがえる。

日本映画製作者連盟によると、2019年に日本で公開された映画は、洋画邦画合わせて1278本。デジタル技術の発達により、いわゆるインディーズ映画と呼ばれる低予算映画が多く制作されるようになったが、その受け皿となっているのが、全国で細々と営業しているミニシアターだ。それだけに、今回の窮状に危機感を抱いた人たちの間から、なんとかミニシアターを守ることができないだろうか、という声があがってきている。

『選挙』や『精神』など数多くのドキュメンタリー作品を発表してきた想田和弘監督は、5月2日より劇場公開予定の最新作『精神0』を、劇場公開と並行して「仮設の映画館」と題してデジタル配信を行うことを発表した。

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