コロワイドが大戸屋に「株主提案」を行う真意 なぜ役員刷新か、野尻社長120分インタビュー

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――株主提案では取締役の刷新を求めています。

今の経営陣では改革できないからだ。窪田社長と山本取締役には残ってもらいたいが、交渉の途中で「プロキシーファイトで負けたら辞める」と言っていた役員については候補から外した。いてもらっても仕方がない。

取締役会の過半を握りたいと思っているのは確かだが、今回候補にさせていただいた人たちは、コロワイドの言うことをそのまま素直に聞くようなメンバーではない。そういう意味では、大戸屋を征服したい、われわれの思うままにしたいといった思いではなく、あくまで企業価値を上げたいという思いから選んだメンバーだ。

――実質的な創業者、故三森久美氏の長男である智仁氏が取締役候補に入っていることには違和感があります。いわゆるお家騒動の当事者です。

大戸屋には確かにお家騒動はあった。しかし、智仁氏、そして(故三森久美氏の)妻である三枝子氏も、われわれに株式を売却した後は大戸屋になんの未練もない。智仁氏は自身の会社を立ち上げて経営していることもあり、打診したところ断られたくらいだ。

智仁氏は実質的な創業者の長男で、先代の理念や大戸屋のDNAを知り尽くしている。そんな人材は彼しかおらず、「お父さんが言っていたことを話してくれるだけでいいから」とお願いして候補に入ってもらった。

店内調理にこだわりすぎ

――大戸屋をどのように再建していくつもりですか。

大戸屋がやっている「定食屋」業態は、社会になくてはならないインフラだと考えている。特に先代(久美氏)が始めたころは全部500円台で、安くてボリュームがあって、しかもおいしかった。そうしたものを提供したいという哲学もあった。

しかし時代は変わり、人件費が上がり採用難だし、さまざまなコストも上がってきた。これまでと同じようにやっていては採算が合わない。そこで値上げしているが、品質は逆に劣化してきている。特に先代が亡くなった後はひどい。そういう意味で、今の大戸屋には「ガバナンス」と「変化対応」が決定的に欠けている。

われわれは、決して大戸屋をコロワイドにしたいわけではない。メニューに口出しするつもりもない。大戸屋の優れた部分は残しつつ、合理化できるものはしようと考えているだけだ。大戸屋のブランドは非常に魅力的。一朝一夕に作れるものではない。

大戸屋の定食は店内調理がウリの1つだが…(記者撮影)

たとえば、大戸屋ではキャベツを今でも店内で切っているが、技術の発展によりセントラルキッチンで切って店舗に運んでも、品質は変わらない。にもかかわらず、「店内調理」にこだわり過ぎ、忙しいランチタイムにディナータイムの仕込みも同時にやっているから調理場がパンクし、お客様に提供するまでに長い時間がかかっている。これでは意味がない。

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