コロワイドが大戸屋に「株主提案」を行う真意 なぜ役員刷新か、野尻社長120分インタビュー

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人件費を始めとするコストもかけすぎており、結果として値上げせざるを得なくなって、定食なのに1000円近い価格帯になっている。セントラルキッチンの活用などの合理化を進めれば、シナジーは6億9000万円程度出せると考えている。その結果、各メニューの価格も100円程度下げることができる。

売上高を2.4倍の600億円にできる

――コロワイドのセントラルキッチンの稼働率を上げたいからではないかという指摘もあります。また、店内で調理するからおいしいのであって、セントラルキッチンにしたら大戸屋の良さが失われるのでは?

そんなことはない。現在、工場はフル稼働だ。大戸屋のために新たな工場が必要になると考えている。店内調理に関しても、大戸屋側は「調理方法は最高機密だ」などといっているが、アルバイトや日雇いのスタッフに鍋をふらせておいて何が最高機密だというのか。しかも、現在の経営陣になって冷凍食品も使っており昔とは違う。確かに、われわれはセントラルキッチンでやっているが、すべて工場で作って運んでいるわけではなく、店内でも調理している。われわれがやった方が確実に品質は向上する。

コロワイドの野尻公平社長は、これまでM&Aを駆使して業容を拡大してきた(写真:コロワイド)

コロワイドはこれまで多くのM&Aを手掛けてきたが、経営再建にあたっては基本、プロパーの社員に任せてきた。コロワイドのインフラを使って、自分たちで再建してくれという方針だ。したがって、大戸屋にもそうしてもらうつもり。良さを失われないようにするためだ。

大戸屋の経営が苦しくなっているのはガバナンスのせいだ。商品が出てくるまで時間がかかり、マーケティングもしていないためメニュー開発どころか、品質の低下も招いている。合理化を進め、良さをさらに引き出せば、現在250憶円くらいの売り上げを、約2.4倍の600億円にまで持っていける。そんな状況を客観視できず、改善できていない今の経営陣は、株主として刷新すべきだ。

――しかし、なぜ今、株主提案するのかという声もあります。

すべてコロナショックだ。今のような状況が続けばフランチャイズ(FC)の加盟店がもたない。大戸屋の約3分の2がFC店。今やらなければ、FC店は閉めざるを得なくなり、ひいては大戸屋自体の屋台骨が揺らぐ。だから、今、やろうとしているのだ。私は昔から大戸屋のファン。ファンとして、そして株主として、大戸屋によくなってほしいと思っている。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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