ネットフリックスはいったい何がスゴいのか 1億ドル基金で世界中の映像制作支援の理由

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そうした中、ウォルト・ディズニーが新しいサービスである「Disney+(ディズニー・プラス)」を2019年11月に開始しました。これまでのディズニー作品に加えて、「ピクサー」「マーベル」「スター・ウォーズ」といったグループの作品が配信される予定です。早速12月から、オリジナルコンテンツであるスター・ウォーズのスピンオフドラマ『マンダロリアン』が配信されています。ディズニーは、他の動画配信サービスから自社のコンテンツの引き揚げも着々と進めており、ライバルにとって大きな脅威になっています。

その影響は、すでにネットフリックスにも出ています。「Disney+」のサービス開始が発表されて以降、それまで上昇を続けていたネットフリックスの株価が下落に転じたのです。 海外における会員増加が評価されたことで株価は回復傾向にあるものの、2018年の高値に並ぶまでには達していません。アメリカの4大テレビネットワークの1つである「NBCユニバーサル」が、無料モデルも含む動画配信サービスを2020年に開始するとも伝えられており、王者・ネットフリックスを取り巻く環境はますます厳しくなるといえるでしょう。

ユーザーの視聴データをAIで解析

ただし、他のライバルが追い付けない、ネットフリックスの強みがあります。それが、「レコメンデーション機能」です。レコメンデーション機能とは、ユーザーが「面白い」と感じると推測される作品を画面上で「オススメ」として表示する機能です。レコメンデーションされる作品の選択、および、オススメの順番は、ユーザーの視聴データをAIが解析して決定されます。ユーザーが過去に視聴した作品や視聴時間、視聴した日時、視聴に使った端末、検索時のページのスクロール状況といった、細かいデータが分析対象になります。その際、ユーザーの性別や年齢、どの国や地域で視聴しているのかといったデータは考慮されません。「性別や年齢といった表面的なデータよりも、過去の視聴データを分析するほうがユーザーの興味に近づくことができる」という理由からです。

ネットフリックスは、DVDのオンラインレンタル事業を行っていた頃から、サイト上でレコメンデーション機能を提供していました。また、レコメンデーション・エンジンの精度を上げるアルゴリズム・コンテストを開くなど、開発への投資を行ってきました。そうしたデータと研究・開発の蓄積が、競合他社よりも精度の高いレコメンデーションを実現しています。現在、ネットフリックスで視聴されている作品の8割以上が、レコメンデーション機能を経由しているといわれています。

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