台湾学生運動リーダー・林飛帆氏に直撃 なぜ学生は、中国との貿易協定に反対なのか

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――立法院の外からは、林氏含めた運動の主体が「方針の決定過程において権力があまりにも集中しており、ひとつの独裁体制だ」との批判も受けています。

現在、立法院内に9人(学生5人、NGO代表4人)で構成される方針決定グループがあり、少数集中という批判には当たらないと思う。問題は、各代表が各自の所属団体内部の意見をどのように反映させていくか、だ。それは常に問題となる部分だ。

もうひとつの盲点は、学生代表が現在は立法院の会議場内にいる学生たちだけで構成されていることだ。場外でのリーダーシップがなく、実権を持っている代表が存在しない。場外は、かつて中国で諸侯が乱立したように、各団体が自分たちの地盤を考えながら運動に参加する市民を指揮しており、意見を収斂させるのが難しい。

場内の指導幹部も10日間以上も継続して局面を打破し耐えてきたのでとても疲れている。現在の状況は、われわれが共に馬英九政権に対応し、また立法院内、そして各組織や団体間の意見調整を行わなければならず、どこに中心を置くか考える余裕がない。中心をどこに据えるかが難しい状況だ。

――今回の運動では、学生運動側とメディアの関係が改めて注目されています。地元メディアへの市民たちの反発や、運動内部での、積極的なインターネットによる情報拡散などは、世界的に注目されています。

われわれの運動に対し、多くのメディアがわれわれにとって友好的な立場でありながらも、客観的で公正な報道をしていると判断している。多くの記者たちが学生運動に同調しており、われわれも彼らと対立する必要がないと考えている。

 問題は、立法院外での衝突が相対的に多いことだ。たとえば、負傷者を病院に搬送する過程では、まずは負傷者優先で医療陣の保護や負傷者のプライバシーを大事にしたいという気持ちから、学生側の警護担当者が負傷者の壁になろうとして、現場の取材記者たちと衝突してしまう。

また、台湾のテレビ局の中には、これまでの報道姿勢から来る固定観念があり、それに不満を持つ学生も多い。市民が特定メディアの記者を攻撃することもある。たとえば、中継車に悪口を書いた紙を貼り付けたり、直接落書きしたり…。こういう行動には注意し、そうしようとする市民にはやめさせるよう、警護担当者に指示した。(インタビューは4月1日に実施)

(Key Word)台湾の学生運動;第2次世界大戦が終わり、日本の植民地支配から開放された台湾は、国共内戦で敗れた中国国民党が台湾に渡った。それから国民党の蒋介石による独裁体制が始まり、長い戒厳令下の時代を迎えた。
その過程で、反政府・反独裁・民主化を求める学生たちによる反政府・民主化のための大きな運動が何度か起きた。代表的な運動には、1949年の「四六(よんろく)事件」、86年10月から翌87年5月の「自由之愛」、そして90年3月から6月にかけて行われ、台湾の民主化が確実に進むきっかけになった「野百合学運」がある。08年11月から09年1月にかけても、現在の馬英九政権下でも、集会やデモの自由への規制に反発した「野草苺(野いちご)学運」と呼ばれる学生主体の運動が発生している。

 

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