台湾学生運動リーダー・林飛帆氏に直撃 なぜ学生は、中国との貿易協定に反対なのか
――馬英九総統は、サービス貿易協定は一つのFTA(自由貿易協定)であり、今後台湾と大陸以外の国とFTAを結ぶ際に重要な先行事例になると主張しています。FTAについてはどのようなお考えをお持ちですか。
自由貿易というものは、その恩恵を受ける人もいれば逆に被害を受ける人もいるものだ。問題は、被害者に対しどのような方法で補償したりするなど、どのような対応や措置をとるべきかだ。また、恩恵を受ける産業において得られた利益をどう分配するかどうかも問題ではないか。少数の大企業にのみ分配されるのか、数多くの労働者に分配されるのかが重要だと考える。
自由貿易そのものに疑問
どのFTAにおいても、その内容をしっかりと吟味すべきだ。締結過程において台湾の数多くの基礎的な産業に被害を与えないものなのか。同時に、不公平な利益分配が実施されるものであれば、私は反対する。
私の個人的考えから言えば、自由貿易協定そのものに疑問を抱いている。なぜなら、過去、自由貿易協定はいつも強者が弱者を支配しており、すべての大資本主義国家が弱者に資本を輸出したり、労働力を搾取したりしてきた。各国で同様な問題が出ている。また、今回のサービス貿易協定は、経済的な問題だけでなく、政治面でも問題が多い。
――今回の運動は「向日葵(ひまわり)学運」と呼ばれ、これまで台湾が経験してきた民主化運動の延長線上で語る人も少なくありません。これまでの民主化運動について、学生運動のリーダーとしてどう考えていますか。その意義や重要性についてはどう考えますか。
今回の学生運動は特に重要で、大きな意味を持っている。まず、われわれが現在、代議制による政治と政党政治に対し深く反省している状態だ。かつてのように、単純に一つの政党や1人の代議士(国会議員)に依頼して国の政治を行うのではなく、われわれが直接自分の力で運動を行っている。
次に、両岸関係のあり方についても反省している。だからこそ、両岸の経済貿易や政治交渉に対し、さらなる民主主義的な参与制度などを要求し、民主主義で両岸関係の発展を目指すのが原則としている。
運動側にも反省すべきところがある
――今回の運動で問題なことはありますか。
改善すべき部分があまりにも多い。正直に言えば、今回はあまりにも急に運動実施を決定したため、また現在のように大規模になることを予測できなかったため、多くの活動において細目までしっかり決める時間がなかった。たとえば、各組織のメンバーやパートナー間と、運動への気持ちをどのように共有し、維持していくかという問題。また、対策を決定する過程で、われわれがすべての参加者の意見を受け入れることができるシステムを作ることができなかったことなどが問題だ。