【産業天気図・空運】ビジネス旅客回復鈍調、日航再建問題も不安要素で「雨」続く

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 来10年度は、高値在庫分の燃油費がはげ落ちて大手2社の費用は軽減される見通し。にもかかわらず旅客数は当面鈍い状態が続くと予想され、この減収分を費用減で補えるかは不透明。全日本空輸は過去最大規模の費用削減を継続し黒字転換できそうだが、注目は経営再建中の日本航空の動向だ。

日本航空は私的整理の一種である事業再生ADRも申請、日本政策投資銀行がつなぎ融資として11月に1000億円の融資枠を設定したことで短期の資金繰りにはメドがついた。焦点は年金減額問題に移っており、当社は12月中旬までにOBへの3割減額の意向調査をまとめる予定。ただ減額改定には3分の2以上の同意が必要でハードルは高い。前原誠司国土交通相は「日本航空が飛ばない状況は作らない」として政府支援を公言するが、事実上の支援条件である年金問題の解決がなければ、法的整理への移行もあり得るとみられる。こうした状況を踏まえ、日本航空は通期業績予想を非開示に変更。継続企業の前提にも疑義注記を初めてつけた。優先株配当も未定としている。

現在、同社は企業再生支援機構に支援要請中で、10年1月にも再建計画が正式決定される見通し。計画次第では全日本空輸など航空各社の戦略も変わることが想定され、国内航空業界は予断を許さない状況だ。
(冨岡 耕)

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