美容室「営業継続」でも全く視界が晴れない事情 休業しても補償なし、広告費など出費かさむ

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美容室は営業継続か休業か、選択を迫られています(写真: horiphoto / PIXTA)

東京都は10日、政府の緊急事態宣言を受けて11日から休業を要請する対象業種を発表した。その中には理髪店や美容室は含まれておらず、協力金の給付対象ともならなかった。当初は都の案には含まれていたものの、国は営業可能と判断。意見が食い違う形となっていたが、最終的に国の判断に沿う形となった。

一方で4月9日に福岡県豊前市で新たに確認された3人のコロナウイルスの感染者が、いずれも3月28日に同じ美容室を訪れていたことが報道された。この美容室を巡っては、同店の経営者や他の利用客の感染も確認されている。至近距離での接客が前提の理髪店や美容室は、営業か休業か、補償がない中で難しい判断を迫られている。

東京都品川区にある少人数制の美容サロン「ヨーロー(YOLO)」は4月8日から14日にかけて、臨時休業した。代表の池元順史氏は「都の外出自粛要請が出た後の3月末から客足が落ち、休業前は1日あたりの客数が5割減くらいになっていた」と語る。

コロナ対策をしても不安で夜も眠れない

ヨーローのスタッフは、手洗いやうがい、換気は必要以上に行ってきたという。ただ、それでも美容室や理髪店は至近距離での接客が免れない職種だ。「できる限りの対策をしているが、感染者が出たらどうしようと夜に眠るときもドキドキするほどだ」と不安は拭いきれない。こうした懸念もあり、ヨーローでは緊急事態宣言の翌8日からいったん休業に入った。

休業の決意は、都が当初出していた休業要請案の業種に理髪店が含まれていたことも大きな要因だった。ところが、7日の衆議院議院運営委員会で、西村経済再生担当大臣が利用制限の対象に理髪店や美容室、ホームセンターを含むかと問われた際、「いずれも国民の安定的な生活を営むうえで必要」と回答。休業要請が出ないのであれば、協力金も得られない。池元氏は「この様子では開けざるをえない」と14日からの再開を決めた。

休業には家賃や人件費だけでなく、大手オンライン予約サイトの広告費などの支出も重くのしかかる。再開にあたっても大々的な宣伝を行うこともはばかられる状況だ。また理髪店や美容室側にとって広告費は大きな痛手だが、予約サイトからの減額などの提示は一切ない。中には「広告費破産」に危機を募らせる理髪店や美容室もあるという。

池元氏は「お客様には来てほしいが、複雑な心境」と素直な胸の内を明かす。ヨーローでは再開後も前日までの予約のみとし、業務が終了したスタッフから帰宅させるなど短縮営業を取っている。

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