美容室「営業継続」でも全く視界が晴れない事情 休業しても補償なし、広告費など出費かさむ

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また、7日には新規申し込み者を対象として、4〜5月の月額会費を無料とする「フリーレントプラン」も実施することを発表した。フリーレント終了後6カ月、同一プランの継続が必須となるが、フリーランスの美容師らは当面の間は固定費を削減しながら営業を続けていくことが可能になる。

「この厳しい状況の中でフリーランスだけでなく、中小の美容室が店を畳むことも考えられる。家賃の負担なく、継続して働ける場所を提供したい」(角田氏)。今後の状況によっては、プランの延長なども検討するという。

実際にフリーランスで働く美容師の状況は苦しい。同店を利用するスタイリストのRINA氏は、表参道や銀座のサロンを経て昨年10月に独立。固定客がついていたというが、今の予約数は通常時の8割減だという。「休業は考えなかった。必要としてくださる人もいるし、生活のこともある。でも今は貯金を削ってでも働こうと思っている」とRINA氏は漏らす。

本人が来店を希望しても家族が反対する

RINA氏によれば、キャンセルのあるお客の中には、本人が来店を希望していても、家族の反対に遭うケースもあるという。自身も不特定多数と接触する仕事に両親からは心配の声もあるというが「東京都が美容室を休業の対象外としたので、今後も休業は考えていない」と意志は固い。

もちろん感染防止の配慮は欠かさず、美容師が使用する20坪のスペースは現在貸し切り状態で、予約時間を開けるなどお客同士の接触も避けている。窓は常時開け放ち、消毒や手洗いうがいももちろん欠かさない。それでも「福岡の美容室での感染のニュースを見て、改めて気をつけなければと意識した」(RINA氏)と危機感は募る一方だ。

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「クノア」の運営サイドも感染予防や支援策をさらに強化していく。「元々スマート化がサロンのコンセプトだったので、現在、運営スタッフは無人。店内カメラなどでセキュリティ対策をしている」(角田氏)。週2回行うサロン説明会もすべてオンライン対応だ。今後はレッスンやカウンセリングなどの遠隔で対応可能なものに関してはオンラインメニューの提供なども行うという。

だが髪を触れなくては仕事ができない美容師たちにとってはリモートワークができる部分は、依然として限られてくる。対策を講じても不安がすべて解消される訳でもない。

またこうしたネットの力を駆使した施策や新しい働き方は若い美容師たちの経営の一助にはなるが、高齢の美容師らが経営する店にとっては、不慣れな部分も多い。

コロナウイルスの感染拡大を受け、若手や高齢の経営者、フリーランスなど美容師や理髪師が抱える悩みはさまざまだ。こうした国や都の方針が、彼らに負担を強いていることは間違いないだろう。

臼井 杏奈 美容業界ライター

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うすい あんな / Anna Usui

青山学院大卒後、産経新聞社に入社しスポーツ記者に。その後INFASパブリケーションズに入社し、WWDJAPANを経てWWD BEAUTYに所属。美容業界記者として外資系ブランド担当およびビューティーテック、アジア市場、スタートアップ、新興市場などを担当。現在はフリーランスとして活動。

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