「カワサキ」バイクは、なぜ急回復したのか 新興国で"趣味"としての需要が拡大

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代表例がインドネシア。同国の2輪市場規模は台数ベースでインド、中国に次いで大きく、年間で約770万台に上る。そのほとんどは川崎重工が手掛けていないスクータータイプなどの小型実用バイクだが、スポーツ・レジャー用の中大型バイクも市場規模が年間100万台を超えるまでになった。主な購入層は20~30代の男性だ。

川崎重工はこのインドネシアを最重点攻略地域と位置づけ、ジャカルタなどの都心部でPRイベントを定期的に開催。現地の所得水準ではまだ大型バイクは手が届きにくいため、インドメーカーにOEMで作らせた排気量200CCの機種をインドネシア専用モデルとして投入するなど、中型サイズのラインナップを拡充。こうした施策により、150~250CCを中心に同国での販売台数は年間15万台まで増え、2輪事業の牽引役となっている。

中国市場にも参戦

さらに新たな市場として、昨年から市場規模の大きな中国での2輪販売にも乗り出した。中国では中大型サイズでも現地メーカーの極端に安いバイクが人気を集め、自動車と違って、日本や欧州メーカーは苦戦を強いられている。

川崎重工ではタイや日本から中国に中大型バイクを輸出し、現地に設立した販社を通じて、上海などの都市部を中心に販売。世界的なブランド力や性能の高さをアピールするとともに、現地ディーラー網の整備を急ぎ、5年以内に最低でも年間5000台以上の販売を目指す。

大きな柱へと育った東南アジアに続き、中国市場も攻略できるかどうかが、中長期的な事業成長の大きなカギとなりそうだ。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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