ホンダに学ぶ「すり合わせ力」の活かし方

クルマが示す、「技術で世界に勝つ」ための条件(2)

 日本の製造業が、世界で勝つための条件とは何だろうか。
「オープン・イノベーション」を合い言葉に、仲介者として「世界の技術を結びつける」ことに奔走しているナインシグマ・ジャパンの諏訪暁彦社長が、3回にわたり連載。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどをモデルケースに、日本の製造業が技術で勝ち続けるための条件や、課題などについて明らかにする。
前回のトヨタに続き、第2回はホンダなどを通して、勝つための条件を探る。
「自動機械」から「自律機械」へ。ホンダのASIMOは進化をとげている(撮影:尾形 文繁)

エヴァンゲリオンより高度? 「念じて動かす技術」

今から約5年前の話だ。ホンダは2009年「二足歩行ロボット『ASIMO』を念じて動かす」という実験を、島津製作所や国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と共同で成功させた。

この時の実験内容を簡単に説明しよう。頭部にセンサーを付けたユーザーが、身体各部の運動イメージを約10秒間、体を動かさずに思い浮かべる。すると、脳活動が計測・解析され、ASIMOが手や足を上げる動作を行なうという内容だ。正答率は実に90%以上というから驚く。

「念じてロボットを動かす」と聞けば、神経接続によって、人造人間を動かすエヴァンゲリオンよりも高度な未来世界のように思えるが、そんな夢のような話が現実味を増してきている。

実は、こうした技術は、ブレイン・マシーン・インターフェース(BMI)と呼ばれ、すでに世界中で盛んに研究が行われている。「危ない!」と思った瞬間にあわてずに危険を回避する操作を誘導できれば、運転ミスによる死亡事故を防ぐことができるため、クルマへの応用が期待されており、実用化に向けた研究も進んでいる。

「非接触での脳活動の計測」「健康状態や心理状態推定のためのビッグデータの解析」「自動車ユーザーインタフェースの使い易さの計測・評価」などは最近、日本の自動車業界で行われた、社外技術を募る実際のプロジェクトである。これらも、脳活動やビッグデータを利用することで、ドライバーの体調を予測し、運転操作のミスを防ぐというものだ。

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