「カワサキ」バイクは、なぜ急回復したのか 新興国で"趣味"としての需要が拡大
が、リーマンショックを契機に欧米で需要が激減したうえ、円高進行も打撃となり、2008年度からは4年連続で赤字を計上。業績不振を受け、東南アジアへの生産移管を加速する一方、モータースポーツバイクの世界最高峰レース「モトGP」からの撤退も余儀なくされた。
その2輪事業の収益が回復してきた理由は2つ。1つは、一連の構造改革で損益分岐点が下がったところに円高是正の追い風が吹いたこと。もう1つが、新興国での販売拡大だ。
2013年度の川崎重工の2輪総販売台数は約55万台(推計ベース)と、前年から1割拡大。依然として欧米市場の回復が鈍い中、新興国での販売が約41万台(前期は35.7万台)に増え、全体を牽引した。
同社2輪の新興国販売台数の2ケタ成長は4年連続で、水準としては4、5年前に比べてほぼ倍増。全販売台数に占める新興国の構成比は今や7割以上、金額ベースでも4割を超えるまでになっている。
趣味としての需要高まる
その大半は、インドネシアやフィリピン、タイを中心とする東南アジアだ。同社の2輪事業を率いる紀山滋彦・常務執行役員は、「東南アジアで2輪と言えば、日常生活に欠かせない移動手段としての小型2輪が常識だった。しかし、近年は経済成長で所得水準が上がり、趣味として中大型バイクを楽しむ文化が着実に広がっている」と分析する。
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