パナソニックがタイ本格進出に力を入れる事情 現地に合わせ、近未来生活スタイルを提案
ベッドルームも、近未来的な快眠ソリューションの提案があった。天井にセンサーを埋め込み、寝ている人の心拍数と呼吸レベルから睡眠深度を計測。人の睡眠レベルに合わせてエアコンと空気清浄機を制御、温度や湿度、空質をコントロールし、快適な睡眠環境を提供する。
さらに、ベッドルームのセンサーは洗面所やトイレ・シャワー室と連動し、トイレに座ると便座のセンサーを通してストレス度をチェック。ストレス度に合わせて、睡眠・ヨガ・シャワーといったストレス解消方法を勧めている。洗面所の鏡には睡眠データが表示され、ストレス度に合わせて望ましい睡眠時間を提案、入眠時間に合わせてベッドルームの温度・湿度を自動的に整えてくれる。
中国のプレハブ住宅にも注力
この仕組みはまだ1部屋あたり1人分しか計測できないが、2人での利用や睡眠時無呼吸症候群の計測も検討している。
宅配便用の新型スマートボックスも展示されていた。ユニークなのは、宅配荷物の受け取りやコインロッカー、クリーニング受け取りなど4つの機能を融合させた複合型であることだ。タイでは洗濯物をクリーニング業者に出すのが一般的。共働きのためクリーニング店の営業時間内に持ち込みや引き取りができない人も多い。こうした事情に応えるため、2020年1月からバンコク市内30カ所で実証実験中だ。
さらに、パナソニックは中国国内で現在、コンテナを利用したプレハブ住宅に力を入れている。中国で建設作業員の人手不足は深刻で、建設現場に作業員の休憩スペースだけでなく、宿泊設備をつくるニーズもある。
パナソニックが提案するのは、1ユニットが幅3m×長さ6mのコンテナで、換気扇や照明、トイレとシャワーがついて最低価格が50万円程度。これを積み重ねれば宿泊施設を簡単に作ることができる。最大6階建てまで建設可能で、2週間ほどで完成が可能。工事が終われば簡単に撤去でき、再利用もできる。
現状、パナソニックのハウジングシステム事業の海外売上高はわずか約50億円。そのうち東南アジアは約2億円しかない。これを、10年後の2030年には売上高1000億円、うち東南アジアだけで約400億円を目指す。
ライフソリューションズの伊東上席副社長は「東南アジア主要国の2021年の住宅着工数は441万戸で、日本の約5倍」と、その市場規模の大きさに期待をよせる。
国内ではビルトイン型食洗機でシェア6割を占めるなど住宅設備メーカー大手でもあるパナソニックだが、国内の存在感がそのまま東南アジアでも通用するかが試されている。
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