パナソニックがタイ本格進出に力を入れる事情 現地に合わせ、近未来生活スタイルを提案
タイでは2020年にシステムキッチンの本格販売を始める。タイは基本的に外食中心で、屋台で食事をとる人が多い。しかし、近年は富裕層を中心に食の安全や肥満を気にする人が増え、家庭での自炊が増えている。
ただ、タイは都市部で地価が高騰し、小さな住宅が増えている。パナソニックは、このようなタイの生活事情に商機を見出し、まだ十分に普及していないシステムキッチンの売り込みを図っている。
日本のように、シンク下などの狭いスペースに食器を効率よく詰め込むことのできるシステムキッチンは、現在のタイの住宅ニーズに合致すると見込む。2019年発表のシステムキッチンは2020年6月に発売される予定だが、「既に現地デベロッパーから引き合いがあり、現時点で受注残が792セットもある」(ハウジングシステム事業部の山田昌司事業部長)。
日本未導入の近未来生活を提案
中国やベトナム、インドでも、システムキッチンやユニットバスの販売・施工を展開していく計画だ。アジア諸国のお風呂事情は、湯船がなく、トイレおよび洗面所と一体となったシャワールームが一般的だ。現地で職人がモルタルを塗り、タイルを貼り付けていく湿式工法がメインだが、工期が14日と長く、職人の腕によって仕上がり品質にバラつきがある。
台湾では工場で主要部分を製造して現地で組み立てれば済む「ユニット工法」(乾式工法)を導入し、わずか1日で完成させることができる。この方式を2020年はタイやベトナムなどでも展開していく計画だ。
2月に開催した展示会では、日本でまだ導入されていない近未来生活も提案した。初日だけで約400人が来場した展示会でもっとも目立っていたのが近未来の住宅ゾーンだった。
それは、電動式昇降棚を搭載したカップボードのほか、コンロ台がそのままダイニングテーブルになるシステムキッチンも披露された。対面で4人が座ることができ、調理をしながら食事ができる。
タイでは屋台で購入した食事を温め直して食べる習慣があるが、部屋が狭く、家族全員が座れるダイニングテーブルのスペースがない。「調理台=ダイニングテーブル」という提案はこれまでにないもので、注目を浴びていた。販売時期は未定だが、まずはリゾート地のコンドミニアムなどに提案していく。
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