「中学の入学式がつらい」行けなかった私の記憶 そして「3年間行かない」と親に宣言した

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中学校の入学式の思い出を、27歳になった富良野しおんさんに語ってもらいました(イラスト:不登校新聞)  
今回執筆したのは、小学校で不登校を経験した富良野しおんさん。中学校の入学式という大きな節目を目の前に、揺れ動いた当時の心境を書いていただいた。

今から15年前の4月、中学校の入学式は、私にとって忘れられない日です。

小学6年生のとき、すでに私は学校へ行けなくなっていました。5年生のときの転校によって、環境の変化や友人関係に疲れてしまったからです。

小学校を卒業すること自体も当時の私にとっては大きな壁で、結局、卒業式には出席できないまま、苦しかった小学校生活は終わりました。

重く張りつめて

そんな私を次に待ち構えていたのは、中学校の入学式でした。私の心は今までにないくらい重く張りつめていました。

当記事は不登校新聞の提供記事です

それは、中学校という節目を目の前に「ここを逃したら、もう学校に戻れるチャンスはない」と誰よりも私自身が感じていたからです。

これ以上、家族に迷惑をかけられない、そしてまわりの子たちと同じように、普通の人に戻りたいという焦りもあったと思います。

中学へ行ける可能性を少しでも高めるために、私は入学式までのあいだ、自分のなかで何度も中学校へ行くイメージを膨らませました。

自分が教室へ入っていくのを想像したり、しばらく会っていない同級生に話しかける言葉を考えたりしました。

「本当に自分は学校へ行けるのか?」という不安もありましたが、それはなるべく考えないようにして、1日1日をすごしていきました。

そうして、迎えた中学の入学式当日。入学式に間に合う時間にきちんと目が覚め、顔も洗って、朝ごはんも少し食べました。あとは自分が動き出すだけ。

でも、私の心と身体はどうしても動いてくれませんでした。腰かけたベッドの上から1歩も動けないまま、ただ時間だけがすぎていきました。

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