TDKが下方修正、消えた電子部品の楽観ムード

コロナショックで頼みの5G需要にも懸念

今回のTDKの業績修正は、中国における電子部品会社への新型コロナウイルスの影響を示す代表例ともいえ、「今後のほかの日系電子部品メーカーの業績を予想するうえでも重要な事例」(前出のアナリスト)と言われる。

実際、日系電子部品メーカーは2020年2月から3月にかけて中国にある工場の稼働率低下に見舞われた。「従来の業績予想を下回るのはTDKだけにとどまらない」(京都の電子部品メーカー役員)との見方がもっぱらで、2020年3月期決算の業績下方修正ラッシュの秒読みが始まったとも言えそうだ。

新型コロナウイルスの感染は世界に広がっており、電子部品業界の次なる焦点は2021年3月期の行方に移っている。まず、中国拠点の供給体制への懸念は少なくなりつつある。中国工業情報化省は3月30日、28日時点で売上高2000万元(約3億円)以上の製造業の98.6%が操業を再開し、9割の従業員が職場復帰していると発表。日系電子部品各社の工場稼働率は、平常に戻っているところが多い。

iPhoneの受託製造で知られる鴻海精密工業も「主要工場での人員確保はできている」としている。例年の繁忙期である夏から秋までにフル稼働ができるか社内でも疑問の声はあるが、当面の生産体制に問題はないという。

「絶望的な計画を組む」

供給懸念が低下する一方、電子部品各社が見通せないのが新型コロナウイルス流行で消失していく需要だ。車載向け電子部品について「絶望的な計画を組む」(コンデンサーメーカーのIR担当者)という企業もある。

「スマホ依存」を脱するためにも、電子部品各社はここ数年、車載向け電子部品を新たな成長領域として拡大に力を入れてきた。自動車1台当たりに使われる電子部品点数はスマホの3~10倍と多く、1個当たりの単価も高いとされる。村田製作所やTDKの売上高に占める車載向け部品の比率は現在10%台で、モーター大手の日本電産など2割を超える企業も多い。

しかし、新型コロナウイルスの拡大で中国だけではなく日米欧の自動車工場で生産停止が相次いでいるうえ、景気の急減から新車需要も落ち込むとみられる。TDKが今回、自動車向けにも使われる磁気製品の生産設備で減損を計上したのも、足元の急激な環境変化を踏まえたものだろう。

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