匿名掲示板5ちゃんねるには「志村さんには悪いけど、これで一気にみんな気を引き締められればいい」という書き込みがあった。亡くなった志村さんは本当に気の毒だが、もし彼の感染が報道されなければ、人々の気は緩んだままだったろう。
3月22日に興行を強行し、今後も興行は続けると宣言したK-1は今もネットで猛烈な批判を浴びている。K-1が諸悪の根源というわけではまったくないものの、3月末の3連休に端を発した弛緩ムードの象徴的存在とされている。
人間は「欲望を抑えきれない」生き物
感染開始初期の頃は、「クルーズ船乗客」「バスツアー参加者」「屋形船宴会参加者」「ジム通いの人」「ライブハウス参加者」など娯楽を楽しんだ人々がしきりと報じられた。
つい先日もスペイン旅行から帰って来た一家が成田空港の検疫による待機要請を振り切って沖縄に戻ってしまい、その後コロナ陽性が判明となった。いずれもそのアクティブさと娯楽への欲望の強さが反感を呼んだ。
しかし、「キャンセル料金を払うのはイヤだ」といった気持ちは理解できるし、「家族でのせっかくの旅行を楽しみたい」という気持ちにも健気さを感じる。「私たち家族は感染しないだろう」という見通しの甘さはあっただろうが、この一家が抱いた欲望が止められないことは人間の1つの真理を表している。人間は欲望を抑えきれない生物であり、それが結果的に個人の失敗や社会の混乱を招いてしまうのだ。
2008年にはリーマンショック、2011年には東日本大震災、そして2020年にはコロナ騒動が起きた。生きていれば抗いようもない事件は起きるものだし、予測も対策もしづらい。せめて今回の騒動で見えた人間の弱さについて思いを馳せ、人々がまた失敗を繰り返さないことを願う。
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