子の自立のきっかけ妨げる親がしがちなNG行動 難関中合格に必要なのは考える力と思考力だ

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私がよく子どもたちに言うのは、「『正解した』ことに意味があるんじゃない、なぜそうなるのかをきちんとわかったうえで正解しないと意味はない」ということです。

しかしこのような学習は、実は年齢が進まないと難しいです。高学年といわれる4年生以降にならないと、「なぜ?」の部分になかなか興味が湧いていかないと感じます。

ですから、繰り返しになりますが私が強調したいのは「学力の基礎になる力は勉強の中だけで培ったり訓練したりするものではない」ということです。

日常生活にこそ力を伸ばすヒントがある

身の回りのことにきちんと神経が行き届いたり、心を配れたりするかどうかが、勉強における「丁寧さ」や「整理力」にも通じてきます。

例えば、算数では「条件整理力」と呼ばれる、問題文に記された設定を図や表にまとめる力が求められます。問題文に文章で書かれてあるだけでは理解しづらい内容を丁寧に読み取り、図や表に整理してまとめることができる条件整理力が育った子どもは、考える力もどんどん育っていきます。

条件整理ができれば考えやすくなるので、考える力も育つという相乗効果の関係にあるのですが、未整理状態のままでは正しく考えることができないので、考える力がなかなか育たないという状況に陥ります。

「条件をきちんと整理して書く」ことと「机の上を整理整頓する」ことを比べると、その行動時の神経の使い方や頭の使い方はほぼ同じだと言えます。

私は子どもたちに「プリントや文房具がぐちゃぐちゃに突っ込まれたカバンの中は、君たちの頭の中がそういう状態だってことを示している。その状態で何がどこにあるか把握できている? 短時間で正確に取り出せる?」と問いかけます。

さらに、そのぐちゃぐちゃのカバンの中身を保護者の方が全部仕分けして整理整頓しているケースに遭遇します。その親子の役割分担は、果たして子ども自身の力を育てることにつながっているのでしょうか。

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カバンの整理は勉強には直接関係がないように思えますから、その部分は保護者の方がサポートしてあげようと思っておられるのだと思います。

しかし実は、そうした行為が子どもの成長を妨げているとも言えるのです。どんなことでも自分でできることは、極力自分でさせないと子どもは成長しません。

中学受験では、もちろん最終的には結果を出すことが求められます。ただ、そのプロセスで子どもたちに求められるのは、学力をつけることに加えて「大人に近づくこと」なのです。

だからこそ、保護者の方にも、中学受験に取り組むことを、甘えの許された子ども時代からの脱却を促す機会として捉えていただきたいと思います。

黒田 耕平 希学園学園長

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くろだ こうへい / Kouhei Kuroda

1975年兵庫県伊丹市生まれ。大阪大学在学中より塾講師業に携わり、希学園の算数科講師として、灘中をはじめとした最難関中学校へ多数の合格者を輩出。2009年より希学園学園長に就任した後も、経営トップと二足のわらじをはきつつ、低学年から灘中受験を目指す6年生まで幅広く授業を担当。自ら生徒指導の第一線に立ち続けながら、塾生に一生懸命にやりきることの大切さとその先にある合格・成長の喜びを伝え続けている。著書に『未来につなぐ中学受験』(クロスメディア・パブリッシング)。2015年より神戸新聞にて教育・受験コラムを連載中。

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