子の自立のきっかけ妨げる親がしがちなNG行動 難関中合格に必要なのは考える力と思考力だ

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日常生活のすべてにおいて「考える」チャンスはあります。子どもから「お母さん、次は何したらいい?」と聞かれたとき「次はああしなさい、その次はこうしなさい」とすべて教えてしまっていると、思考力は育たないのです。

「思考力」を育てるのは非常に難しいのですが、保護者の方が手取り足取りやってあげている間は、思考力は絶対に育ちません。例えば、朝起きてから学校に向かうまでのスケジュールは、子どもが自分で考えて設定できているでしょうか。

保護者の方に着る服や持ち物をすべて準備してもらったうえで、「起きなさい」「朝ご飯を早く食べなさい」「早く準備しないと間に合わないよ」などと言われてから行動している状況ではありませんか。

もし単に言われて行動しているだけなら、子どもはまったく「考える」ことはしていませんよね。このような日常生活の一つひとつの積み重ねが、思考力が身につくかどうかの差につながるのです。

子どもにとって「深く考える」はハードルが高い

拙著『未来につなぐ中学受験』でも詳しく述べていますが、子どもたちは、なかなか答えが見いだせないことに対して、自分で考え抜いて答えを見つけるということが本当に苦手です。

しかし、考える力を育てるには、自分の意思で「答えが見いだせないこと」に向き合って、答えを導き出す経験を積んでいくしかありません。幼いころは、すべて親に頼ればなんとかしてもらえていたかもしれませんが、小学校高学年になると、自分の責任で悩んだり考えたりするという「孤独」と戦っていく力がないと、学習効果を上げることは難しくなってきます。

親から与えられて正解を見つけた場合、一時的な安心感にはつながりますが、その「わかった」が本当にわかっているのかいないのかが問われるシーンがいずれ必ず訪れます。そのシーンでは子どもは自分1人で考えなければならない孤独な状態です。自分の力でやり抜いて辿り着いた正解でないと、同じ問題に再び答えなければならなくなったとしても、対応することは難しいでしょう。

私たち大人は、子どもが考えている時間がもったいない、考えている時間を待っているのが辛いと感じて、「この問題はこういうやり方でやって、この答えなんだよ」と、一から十まで教えすぎてしまいがちです。

そうなると、子どもは「楽」ができるので、考えることをしなくなってしまいます。皆さんのお子さんはすぐに「わからない」と言ったり、それを顔に出したりしませんか? それは、そういう態度をしたらすぐに教えてもらえるので楽だと思っているからです。

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