「iPad向けOffice」登場の大きな意味 巨人が取り組む2つの変化

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「デスクトップ」から「モバイル&クラウド」へ

iPad版Officeは、多くのiPadユーザーにとって歓迎されるものになるだろうか。2014年3月というタイミングは、このギリギリのラインになっていたかもしれない。

2013年は、Windows XPのサポート終了に伴う、PCの買い換え特需が見込まれてきた。特にビジネス市場では、PCの買い換えと新バージョンのWindows、Officeの購入というイベントだ。この反動から2014年の日本でのPC市場の予測は、通年で13.9%減を見込んでいる。同時に、タブレット市場の成長も18.3%増と、2013年までの50%以上の成長と比較して大きな減速が見込まれている(関連記事)。

日本市場では、PCからタブレットへの転換とタブレットがある程度行き渡りつつある兆しが見え始めている。世界の先進国市場でも同様に、既にデスクトップからスマートフォンやタブレットといったモバイルへのシフトが大きな流れとして起きている。マイクロソフト自身も、自社のタブレットであるSurfaceの好調な売れ行きから、身を以て体験していることだ。

またタブレットユーザーはタブレットだけを使うわけではなく、PCも使うしスマートフォンもポケットに入っている。スマートフォンがiPhoneだから必ずiPadを仕事で使う、というわけではなく、iPhoneとSurfaceを組み合わせて使うユーザーもいる。

このような複数のデバイスやプラットホームで利用する環境を束ねるのはクラウドの役割であり、こちらもマイクロソフトは「Microsoft Azure」というクラウド環境を整備している。

マイクロソフトは、デスクトップPCの世界市場で大きな覇権を長い時代確保してきたが、同時に着々と、次の時代への対応を進めてきた。iPad向けタブレットはその中の1つのアプリ群でしかないが、これを出したことは、同社にとって象徴的な出来事になるだろう。

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