「iPad向けOffice」登場の大きな意味 巨人が取り組む2つの変化

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「ソフトウエア」から「サービス」へ

ソフトが1つのプラットホーム向けに1本ずつ、パッケージで売れていくという時代ではなくなっている。そこでマイクロソフトは、iPad向けOfficeも含めて、「Office 365」と呼ばれる購読型サービスに統合した。

Office 365は、マイクロソフトのクラウド環境とデスクトップやタブレットなどのアプリを利用できる統合アカウントだ。個人ユーザー向けにはこれまで、月額9.99ドルのホームプレミアムというプランが用意されており、常に最新版が利用できる複数のPCやMac、タブレットで利用可能なOfficeアプリケーション、20GBの追加OneDrive(クラウドストレージ)、Outlookメールアカウント、60分のSkypeコールがついてくる。

年間99ドルという利用料になるが、パッケージ版を購入すると1台のPCのみにインストール可能なバージョンで399.99ドルという価格で、明確にコストのメリットが感じられるだろう。これに加えて、マイクロソフトは3月13日に、月額6.99ドル、年間69.99ドルのOffice 365 Personalという更に安いプランを出した。PCやMacに1台、タブレットに1台という制限がかかるが、その他はこれまでのOffice 365と同様に利用でき、個人が使いやすくなった。

同時に、パッケージ買い切りではなく、購読型のサービスとしてOfficeを提供していく方向に転換している。この変化は、既にアドビがCreative Cloudで購読型サービスへと移行している。複数のアプリケーションがセットになったパッケージで購入すると20万円以上の高価なクリエイティブソフトウエアを、月額4980円で常に最新バージョンが利用できる仕組みにした。

購読型サービスは、ユーザーに対して、初期投資とバージョンアップ時の投資を軽減し、最新機能を素早くユーザーに届けることで、ソフトウエアに対するロイヤリティを高めることができる。同時に、クラウドやマルチデバイスといったトレンドを取り入れることが可能になり、マイクロソフトはその時代への準備を十分にして現在に至っている。

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