直感型の天才が打算と地味な努力にこだわる訳 起業家4人が本音で語る「日本のサードドア」
そして知ったのが、投資家の松山太河さんがマネージングパートナーを務めるベンチャーキャピタル(VC)「イーストベンチャーズ」です。当時の自分は投資と融資の違いもわからない素人でしたが、SNSで松山さんに直接メッセージを送り、インターンとして働かせていただきました。
これが私にとって最初のサードドアでした。松山さんの下で、外からではわからないVCの現場を学び、その後入社したDeNAの投資部を経て起業しました。
当初は世界の課題解決にも目をつけていて、自分でVCを作りたかったのですが、日本にも助けの必要な大勢の若者がいると気づきました。
たとえば今は独身の2人に1人、20代の60%以上に貯蓄がない時代で、いろいろな社会問題が起きている。その背景に給与の翌月払い制度という問題があるとわかり、それなら給与の前払いからウォレットを作ることで、自分にも人助けができると考え、今に至ります。
近藤:企業向けの家具のサブスクリプション事業をされている「サブスクライフ」の町野さんは、それ以前にはCM系キュレーションメディア「アンテナ」も創業された、マーケティングのプロ経営者です。『サードドア』はどう読まれましたか?
小さな会社の深い悩みと向き合う
町野健(以下、町野):僕は元来、行列に並んで待つことが嫌いで、「どう効率的に行くか」を考えることが好きでした。それから、信条として「必ず業界に革命を起こす仕事しかしない」と決めているんです。
でも、平野さんもおっしゃるように、真正面から突っ込んでも玉砕するだけ。やる気があっても竹槍では強者に勝てません。その点で、サードドア的視点は重要だと思いましたね。
私が手がけた「アンテナ」と「サブスクライフ」は業界は違いますが、共通項があります。何かというと、前者はキュレーションメディアですから、自社で記事は書かない。後者もメーカーとの提携で、自社では家具を作っていないということ。そして僕は、メディア事業も家具事業もはじめて手がける分野でした。つまり「知らないからできた」という部分があると思っています。
知らないということで、なにが功を奏したのかというと、どちらの事業でも、一番弱い立場にある小さな会社さんへのアプローチから始めたことです。既存業界において、かれらが何に困っているかを聞き出し、そこから解を探って、どう革命を起こすかを考えたのです。
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