直感型の天才が打算と地味な努力にこだわる訳 起業家4人が本音で語る「日本のサードドア」
平野:恐怖心を感じたときは、自分の直感を大事にして、好奇心との比較をしているところもあります。恐怖心を感じるので現状のままで行くか、それとも好奇心のほうが強いので直感に従って進めるか、というふうに。それに、恐怖心って、危機感に変換もできるんです。
7年前、英語も話せないまま、知り合いもいないベトナムに一人で移住したのですが、それも直感でした。ベトナムにユーザーリサーチに行ったんですよ。で、到着した日に屋台でフォーを食べながら、「私、ベトナムに住みたい」と思いました。
直感を圧倒的な競争力に変換する
その時点ではまだ、私自身にも理解できない直感でした。でも調べてみると、ベトナムはプログラマーのレベルが高くて、層も厚い。やっぱりここで開発拠点を作ろう、と。
近藤:そして現在、ベトナムだけで160人ほどプログラマーを抱えていらっしゃるんですよね。
平野:はい。向こうで天才たちを見つけて、彼らにAIを学んでもらい、AIリサーチャーとして育成しています。当時は「日本人の怪しい姉ちゃんの会社」でしかなく、誰にも振り向いてもらえませんでしたから、現地の人材採用会社にお願いしたり、現地のカンファレンスに出たり、かれらが集まるコワーキングスペースを自分でつくったりして交流の機会を作って、来てもらったんです。
その陰では、リンクトインやフェイスブックを使って、目ぼしい人を探し、1000人ぐらいに直接メッセージを送るということもやりました。AIリサーチャーは日本全国でも400人ほどしかいないのですが、うちは現在100人抱えています。
ベトナムで新しいサービスをつくっていく。その階段を上るような過程もまさにサードドアでした。
近藤:ベトナムに移住したいという直感を、圧倒的な競争力に変換されたわけですね。
町野:ただ、そのような直感も実はどこかに裏付けがあって、生まれるものではないかと思うんですよ。なにかきっかけがあって勘が働いたのではないでしょうか。
僕は、メディアも家具も、業界の一番弱い人たちの声にヒントを得たことで直感が働き、事業を立ち上げました。やはり、小さな地道な積み重ねこそがサードドアを開けていくのだろうと感じています。
(後編へつづく)
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