東京にある「孤立集落」のあまりに厳しい現実 昨秋の台風で生活道路が崩落、復興作業続く

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3月中旬のある日、修復工事を進めている東京都建設局西多摩建設事務所の許可を得て、日原街道の崩落現場を取材した。3月14日に都道204号(日原街道)の奥多摩町側の一部区間(2.6km)が通行止め解除となり、路線バスも崩落現場近くの大沢バス停まで運行を再開していた。1日9便だ。

取材日は快晴で穏やかな春日和。朝10時10分に奥多摩駅を出発する路線バスに乗り込む。乗客は筆者のみだった。大沢バス停までの約10分間、乗り降りは1度もなかった。運行再開後、地元の人以外では、大沢の渓流釣り場を訪れる人が数人乗車したのみだという。

切り立った崖に沿うように仮設歩道

大沢バス停に着くと、20分後に折り返すこのバスを数人の人たちが待っていた。町への買い物だろうか。バス停近くの駐車場には、いざというときに備えて救急車両が待機している。

(左)「手荷物重量40kg程度」と書かれた看板がある仮設歩道(右)鉄板の道が100m程続く(筆者撮影)

ゲートが設けられた平石橋には通行止めの看板が立てかけられ、ガードマンが通行をチェック。取材の旨を伝えて、橋を渡り、道を進む。

100mほど行くと、工事関係者の車が数台止まっている。その奥で小型の油圧ショベルが作業している光景が目に入ってきた。復旧工事が行われている道路の右端に安全柵が設けられ、切り立った崖に沿うように仮設の歩道が延びている。

巨岩が上部に土砂を付けた状態で転がっている(筆者撮影)

「1名ずつ通行してください」「手荷物重量40kg(ポリ缶2個)程度」「自転車・バイク通行禁止!!」の表示がある。通行人が誰もいないことを確認して仮設歩道を進む。アスファルトの道を10mほど進むと今度は鉄板の道になる。安全柵の左側は崩落現場だ。

道路が削り取られた斜面の土砂の部分はコンクリートで固められている。清流は何事もなかったかのような美しい流れを見せている。

鉄板の仮歩道の長さは100mほどだろうか。終点近くの河原には山から転がり落ちてきたのだろう、巨岩が上部に土砂を付けた状態で転がっている。仮歩道を渡り切った先の道路上にはミニパトカーが待機。改めて崩落現場をチェックする。落下してきた岩や石が河原にゴロゴロと散乱し、道路が大きくえぐり取られた跡が何とも痛ましい。

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