「100日後に死ぬワニ」最終回が猛批判された訳 今後「SNSによる作家活動」難しくなる危険も
批判の多くは、インターネット上のコンテンツにおける、いわゆる「嫌儲(人が金儲けすること自体を嫌う心理的反発やクリエイターがインターネット上にコンテンツを提供し、その対価を得ることに対する心理的反発を表すインターネットスラング)」に根ざしている。
また、こういった批判に対し、「作者がコンテンツの対価として金銭を得ることの、何が問題なのか」「作品を楽しんだ対価として、そのコストを払うのは当たり前」といった声も多く上がっている。
こうして、感動と、その余韻が流れるはずのツイッターは、一部で荒れることとなり、「いきものがかり」のメンバーである水野良樹氏が、作者のきくちゆうき氏との対談動画をツイッター上で配信し、経緯を説明することとなった。
余談だが、この水野氏の対応は、SNS上で“炎上”した際に取るべき初動として、まさに“模範解答”のようなものだと筆者は考えている。あれだけ早いタイミングで、広く経緯が説明されたことで、“炎上”が最小限に抑えられたというメリットは非常に大きい。
作者のきくち氏が語った「真意」
この対談で、作者のきくちゆうき氏は、本作品を「事故で亡くなった友人のことを思って描いた」という、作品の背景だけではなく、批判の対象となったこと1つ1つに対して説明を行った。
同氏によれば、本作品は広告代理店との関係は無く、何ヶ月も前から巨大組織が集まって仕込んだような“プロジェクト”でもないという。また「いきものがかり」が(広告代理店を介さず)コンタクトを取ったのは2月であり、運営、プロデュースを行ったのは、創業間もないベンチャー企業であるベイシカ社であり、その関わりは1月からだとも述べている。そしてメディアミックスの展開に関しては「100日目に間に合わせた」ということを明らかにしている。
つまり“途中から”は、総合広告代理店ではないものの、企業の運営、プロデュースにより、その後のメディアミックスに向けての動きが進んでいたことになる。もちろん、それは『100日後に死ぬワニ』が人気コンテンツになったことの証左であり、作者に正当な形で対価が支払われるのであれば、非常に喜ばしいことである。
だが、1点「失敗」だと言える点があるとすれば、「あまりにも性急過ぎた」ことだ。
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