リケジョが持ち上げられ、落とされる理由 すべての女子は「小保方さん」である(上)

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小保方さんが若い女性じゃなかったら

論文発表当時、小保方晴子ユニットリーダーが女性であることを、発表内容よりも大きく取り上げたのは、世界のメディアで日本と韓国だけだったといいます。

彼女が若く(1983年生まれ)、研究室ではかっぽう着を着るなど、いわゆる「女性らしい」雰囲気だったことも、メディアにとっては格好の素材でした。そこで、「リケジョの女子力」などの枕詞を冠し、彼女の成果を称賛したのです。

そして現在、彼女は一転して苛烈なバッシングにさらされています。中には私生活にずかずかと踏み込む媒体も。その激しさはまるで、「ほら、言わんこっちゃない」「勝手に俺たちの村に入ってくるからだ」とでも言っているように思えてならないのです。

彼女の研究の妥当性や論文内容、あるいは各メディアの報道モラルについても、ここでは触れません。

ですが少なくとも、もし彼女が理系じゃなかったら(たとえば、彼女は文学者だったら、もし彼女がいわゆる「かわいらしい」容貌でなかったら(たとえば、ボサボサ髪のベテラン研究員だったら)、あるいはそもそも、男性だったら……。これほどの過熱にはつながらなかったのではないでしょうか。

「理系」で「女子」だったからこその悲劇。男性が得意とされている分野での女性(特に若い女性)の活躍は、良くも悪くも好奇心の対象となり、結果的に、激しい敵視・攻撃にさらされることもありうる、ということです。

次回は、こうした現象は一部の学会とリケジョにとどまらず、多くの職場と働く女性にも通じる部分があるということについて、考えてみたいと思います。

※後編へ続く。

五百田 達成 作家、心理カウンセラー

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いおた たつなり / Tatsunari Iota

米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー、株式会社 五百田達成事務所代表。35万部を突破した察しない男 説明しない女シリーズ、『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て独立。「コミュニケーション心理」「職場の人間関係」を主なテーマに執筆や講演を行う。

 

 

 

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