婚活ブームで何が起こったか?--白河桃子の「誤解された婚活」・婚活ブームを検証する 第1回(全4回)
●婚活ブームでも変わらない「昭和的結婚観」
しかし残念ながら、もう一つの重要な意識変換は起こらなかった。それは「昭和的結婚観からの脱却」である。「男が家計のメインを受け持つ」という「昭和的価値観」のまま婚活をしていてもなかなか結果は出ない。なぜなら「中流の生活を男性一人では支えられない」時代に突入しているからだ。
さまざまなアンケートなどを見ても、「7割の男性」が「妻にも仕事をしてほしい」と思っている。しかし女性サイドは「出産後の仕事と子育ての両立」には消極的だ。
大企業で制度が整っている人はほんの一握り。1987年に未婚女性の正規雇用率は8割だったのに、今は5割超。女性たちも「就業継続」には自信がない。先輩アラフォー世代の苦労を見ていて「やはり子育てと仕事の両立は無理」と最初から諦観している。現に7割の女性が出産を機に退職しているのだ。となれば「子育て中は養ってくれる」ことを前提に結婚相手を探すことになる。男性サイドの収入が自分よりも低くてもいいと受け入れる女性は「将来上回るならOK」を入れて、やっと5割を越すぐらい。31歳のキャリア女性は、
「私も仕事を辞めるつもりはないのですが、自分と同等以上に仕事をしている人となると、結果的には専業主婦を養えるという“甲斐性”のある人が対象になります」
と話す。「男の甲斐性」は今でも求められているのだが、「甲斐性」のある男性は婚活女性の数だけいないことは確かだ。●婚活ブームで起こった4つのこと
それなのに「昭和的結婚観」のままの婚活ブームは加速していく。以下は『「婚活」時代』が上梓されてからの「何が起こったのか」をまとめたものである。
(1)結婚情報サービスが「婚活」という言葉をビジネスの好機と宣伝に使ったことで、「婚活=婚活ビジネスを使うもの」という誤解が生じた。
(2)2008年9月のリーマンショックで「結婚して安定したい」という女性が増え、20代から婚活ブームに参戦。(結婚情報サービス、婚活ネットなどの会員増から)結婚に経済的な安定を求める風潮を後押しした。
(2)2008年9月のリーマンショックで「結婚して安定したい」という女性が増え、20代から婚活ブームに参戦。(結婚情報サービス、婚活ネットなどの会員増から)結婚に経済的な安定を求める風潮を後押しした。
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