第4回 無用なケンカを回避するこんな方法

熟年離婚したくなければ

怒りの感情には、「持続する」という性質もある。
 腹立たしく感じたことをいつまでも忘れられず、夜も悔しくて眠れず、食事のときも悔しさを思い出してはおいしく食べられないような人に当てはまる。

 2011年11月、兵庫県の会社で、社員が社長を殴って現行犯逮捕された事件があった。
 逮捕された社員は、この会社に約20年間勤務し、定年延長後の勤務最終日に社長を殴るという行動に出たそうだ。警察の調べに対し、「社長への長年の恨みがたまってやった」と供述している。
 ずっと怒りの感情を持続させながら生活するのは苦しいことだが、発散のさせ方は明らかに誤っている。

第1回でも述べたが、フェデラー選手のように、怒りの感情は「負けじ魂」のような建設的なパワーに変換することが可能だ。
 仕事などで成果を上げて相手を見返すことは、相手を殴って逮捕されるよりもずっとスッキリするはずである。
 しかし、スポーツや仕事の場面ならば、怒りをエンジンに変えることで、怒りを持続させないことができるが、カップルの関係において、怒りをエンジンにすることは得策でない。
 カップルの日常では、論争に勝ち負けをつけることが目的ではないからだ。
 パートナーとは対等な関係でい続けることが円満の秘訣となり得る。
 対等でない関係は、どこかで歪みが生じ、歪みは怒りとなり、その怒りは持続する。
 そして、持続した怒りは「恨み」や「憎しみ」と化して、どこかで大爆発するのである。

その顕著な例が「熟年離婚」だ。
 熟年離婚は、昨日今日嫌いになったことが原因で、夫婦の一方から切り出されるのではない。
 若い頃に生じた夫婦関係の何らかの歪みが、ネガティブな第一次感情となって、心のコップに水が注がれる。さらに新たな歪みが生まれれば、心のコップの水かさが増す。この繰り返しで、ある日、妻の心のコップの中は、恨み辛みに支配されてしまうのだ。
 そして妻は決心する。「夫の定年退職の日に離婚を切り出してやる」と。

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