マスクや人手不足が深刻化「介護業界」の苦悩 業界団体も積極的に対応策を検討している

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「これで、倒産に追い込まれていくというような大きな問題は、回避できるのではないかと感じています。しかし、現場は、通所サービスから訪問サービスに切り替えて何をしたらいいのか、送迎方法はどうするのか、利用者が100人もいるところは1日に100人も回れないなど、混乱しています。

さらに、厚労省が通達を出しても、あふれるような通達が出ていますので、そのことを知らない事業者や地方自治体も多くあり、現場では問題が山積しています」(斉藤専務理事)

そのため今後は、現場での問題点を情報収集して、対応マニュアルや事例集などを作って情報発信していく予定という。

介護事業者間で職員を相互融通へ

介事連が介護事業所における衛生用品不足問題について、政府に具体策の検討をお願いしたことに関しても、厚労省は3月19日の閣議後の記者会見で加藤勝信厚労相が対応策を発表。全ての介護保険サービスの施設・事業所を対象に、洗えば何度も繰り返し使える布製マスクを、利用者と職員それぞれに1人1枚ずついき渡るように配布するとした。

介事連ではさらに、入居系高齢者施設内で新型コロナウイルスの感染が発生し、運営に最低限必要な職員数が確保できなくなった場合に備えて、介護事業者間で職員を相互融通するための支援体制を構築する。

法人やサービスの種別を問わず、市区町村単位で法人間の協力体制を構築し、感染者が出た事業所に対して近隣の事業所から職員を派遣する。

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「大型の入居系高齢者施設内ではまだ、新型コロナウイルスに感染した利用者さんは出ていませんが、今後は出る可能性があります。その場合、感染者本人にとどまらず、周囲の職員も濃厚接触者として多数隔離される恐れがあります。

具体的には、デイサービスだと一時的に閉鎖し、利用者さんには自宅待機してもらって訪問介護サービスを行うという対応などがとれますが、高齢者施設内の利用者さんの場合は行き場所がなく、施設を一時的にでも閉鎖することができません。ですから、高齢者施設内で職員が多数隔離された場合は、どのように介護サービスの提供を続けるのかという問題が発生します」(斉藤専務理事)

事業規模の大きな事業者であれば、法人内で職員をやり繰りできるかもしれないが、小規模の事業者は必要な人員を確保できず運用に支障を来す恐れがある。その恐れが、いつ、どの地域で起こってもおかしくない状況になっているので、介護事業者間で職員を相互融通する支援体制の構築を、喫緊の課題として取り組み始めたという。

介事連では、対策本部を設けて詳細を詰め、3月中にも実行可能な体制を構築することを目指している。

塚本 優 終活・葬送ジャーナリスト

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つかもと まさる / Masaru Tsukamoto

北海道出身。早稲田大学法学部卒業。時事通信社などを経て2007年、大手終活関連事業会社の鎌倉新書に入社。月刊誌の編集長を務める。2013年フリーライターとして独立。ライフエンディングステージの中で「介護・医療」と「葬儀・供養」分野を中心に取材・執筆している。ポータルサイト「シニアガイド」に「終活探訪記」を連載中。「週刊高齢者住宅新聞」などに定期寄稿。

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