マスクや人手不足が深刻化「介護業界」の苦悩 業界団体も積極的に対応策を検討している

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業績への影響も徐々に出始めている。時系列に沿って見てみよう。北海道では2月28日鈴木直道知事が「緊急事態宣言」を発表(※3月19日に解除)。「人が大勢集まる場所には行かないようにする」などの要請がなされたことにより、外出する人が減少した。

とくに介護サービスを受ける人が通うデイサービスでは、緊急事態宣言が発表された翌日から、利用者の予約キャンセルが急増し、デイサービス事業所の売り上げは「半減」、さらには「8割減」「ゼロに近い」というところも出てきている。

北海道のデイサービス事業者K社は、「緊急事態宣言が発表された以降の売り上げは半減している。この状態が続くと、事業所の閉鎖を含めて検討しないといけない」と実状を明かす。

名古屋市南区・緑区は2週間の休業を要請

3月6日には、名古屋市内のデイサービスにおいて利用者の集団感染が発生したことを受け、名古屋市は、南区・緑区のデイサービス事業所126カ所に対して2週間の休業を要請。事業者は、売り上げはゼロである一方、職員の給与、施設の家賃などの費用はかかる。河村たかし市長は、休業による損失を補償する考えを示していると報じられているが、時期などによっては、倒産も危惧される状況になっている。

休業を要請されたデイサービス事業者C社は、「市から休業要請が発せられたものの、自宅で介護してくれる家族が仕事を休まざるをえず、どうしても通所サービスを継続したいという方もいる。そのような方には引き続き通所サービスの提供を続けている」という。

デイサービス事業者M社は、「市からの休業要請が発せられた2日後には訪問サービスに切り替えた。しかし、訪問サービスでも感染リスクがあるとの理由から訪問を拒まれる方が2割程度いる。また、訪問介護専門業者のサービスに切り替えた方も2割程度おり、当社が訪問サービスを提供できている方は6割程度にとどまっている。デイサービスを再開した後も経営が厳しくなることは間違いない」と不安気に語る。

新型コロナウイルスによって、人手不足や業績悪化の影響が出てきている介護業界だが、業界団体の積極的な動きも出てきている。法人やサービスの種別を問わず横断的な団体として2年前に設立された介事連(加盟:700法人・6500事業所)では、さまざまな対応を取っている。

介事連の新型コロナウイルス問題に対する取り組み方針について、斉藤正行専務理事は、「感染すると重症化のリスクが高い高齢者の方々に介護サービスを提供しているわれわれの業界は、まず、通常の業界以上に最大限に感染防止に努めていかなければなりません」としたうえで、次のように続ける。

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