コロナウイルス対策については、「『日本のコロナ対策』間違えてはいけない戦い方」(2020年3月9日配信)で述べた通り、「最大の問題の最大の問題箇所」として「医療崩壊で起きること」を防止していくことが最も重要なポイントであることを指摘しました。その上で、注力すべき対策としては、感染者や感染を懸念する人たちが医療機関に殺到しないための施策を講じておくこと、通常の患者とコロナウイルスの患者とで明確に分別し、閉鎖等が起きないようにすること、医療機関での感染拡大防止を最大効果ポイントとすることの3点を考察しました。
吉村洋文大阪府知事は、3月11日、大阪府内の新型コロナウイルス感染者の入院先を症状やリスクに応じて振り分ける司令塔組織「入院フォローアップセンター」を立ち上げる方針を明らかにしました。感染者の大半が軽症か無症状で専門の医療機関に入院しているという現在の状況を、重症者の病床を優先的に確保、軽症や無症状の人は一般の医療機関で受け入れるように運用を見直すという内容であり、重症者を守り、また医療崩壊を起こさせないために、司令塔組織が治療の優先度が高い順に入院先医療機関の選別を行い、患者を振り分けるという施策となっています。
「経済活動の維持」を確保する施策
医療崩壊を起こさせない一方で、経済活動を維持していくためには、ソーシャルディスタンシングとしての隔離措置や自粛措置を合理的に実施していくことが必要です。そのためにまずもって重要なのは、医療崩壊を起こさせないようにするために、大阪府で行っているような感染者の症状やリスクによって医療機関を振り分ける等の体制が構築されていることが自粛措置等を解除する必要条件になるものではないかと考えられます。そのうえで、どのような場合に自粛措置等を緩和していくのかの基準を策定し、その実行を担保していくことが重要になると思います。
日本全体としては感染収束が見えていないなかで、「自分の地域では感染者が出ていないから自粛を解除しよう」というのは危機管理の対応としては合理性に乏しい行動です。ここでも、「医療崩壊を起こさせないためにどうしたらいいのか」という「最大の問題の最大の問題箇所」から逆算して施策を検討していくのが戦略の要諦なのです。
以上をまとめたものが図表2の「供給ショックへの対策」となります。「コロナウイルス対策×経済活動の維持」の両立が、今回の「問題と対策」の中核部分。医療崩壊を防止する一方で、経済活動も維持していく。そのためには上記で述べたような基準を策定し、同基準を提示し、「流行のピークを下げる」×「患者の増加のスピードを抑える」という2つの軸に注力するなかで医療供給の拡大を図っていくことが求められているのだと思います。
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