新型コロナウイルスの感染拡大を受けて金融市場も混乱しています。私は、新型コロナウイルスに関連して、「『日本のコロナ対策』間違えてはいけない戦い方」(2020年3月9日配信)、「コロナショックが招く『経済危機』最悪シナリオ」(2020年3月14日配信)と続けて論じてきました。
今回は、主要各国の金融政策に限界が見え始めていると指摘されているなかで、コロナショックへの経済対策の在り方について、これまでと同様に、「クリティカルシンキング」「ストラテジー」「医療ビジネス論」の3つの複合的な視点から考察していきたいと思います。
「コロナウイルス対策」×「経済活動の維持」
コロナウイルスの感染拡大に伴って、欧米ではソーシャルディスタンシングと呼ばれる隔離政策を導入する国や地域が増えてきています。日本政府では、中国やその他医療崩壊を起こしてしまった国々のケースを分析して、人々を実質的に病院へ簡単には行けないようにする措置(フェーズ1)→イベント等の自粛要請(フェーズ2)→小中高校の休校要請(フェーズ3)を経て、より強力かつ強硬な措置を発動できるように準備している(フェーズ4)という段階に進んできているものと分析しています。
欧米と比較して、現時点では重症者・死亡者数やそれらの人口比割合が相対的に低い日本では、経済活動の低迷を懸念して、各種の自粛対応を解除する動きも出始めています。もっとも、まだ感染収束が見えないなかでの条件緩和にも懸念の声が上がっています。
それでは、「コロナウイルス対策」×「経済活動の維持」の両立、あるいは両者の最適配分はどのように運営していけば実現できるのでしょうか。
本稿では、このような論点も重要な問題意識として、コロナショックへの経済対策を検討していきたいと思います。
図表1は、コロナショックへの経済対策の在り方の全体構造です。感染拡大によって金融市場も混乱する一方で、すでに金融政策にも限界が見え始めているなかで、経済対策には大きな期待が寄せられています。
(外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
もっとも、経済学で言うところの合成の誤謬、つまりはミクロとしての個人とマクロとしての日本経済はこのような事態においては、それぞれ合理性や行動目的が異なるということへの調整も不可欠です。また政府が財政政策を実施するのであれば、現在のような緊急事態がすでに起こっているタイミングにおいては、直接的に有効需要(消費や投資を伴う需要)を喚起し、人々の不安を緩和させることも求められていることは確実です。それでは重要なパートごとに内容を見ていきましょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら