アメリカの連邦準備理事会(FRB)は3月15日の日曜日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートを一気に1.0%引き下げ、事実上のゼロ金利政策を約4年ぶりに復活させた。
同時に今後数カ月でアメリカ国債を少なくとも5000億ドル買い入れる。住宅ローン担保証券(MBS)も同じく2000億ドル購入することを決め、量的緩和政策(QE)も再開した。
市場の混乱回避へ政策を総動員
「アメリカの家族、ビジネス、経済全体を支え、コロナウイルスによる混乱をしのいで資金の流れを促進するため、FRBは数多くの対策をとった」。パウエルFRB議長は15日の記者会見でそう語った。
中央銀行が金融機関に資金を貸し出す際の基準金利である公定歩合も一気に1.5%引き下げ0.25%にして貸出期間を90日間へ長期化したほか、預金準備率は従来の10%から0%へ引き下げた。また、預金金融機関に対して資本・流動性バッファーを利用して貸出をすることを推奨。日本銀行やECB(欧州中央銀行)など、世界の主要中銀とドル供給(ドルスワップ)の拡充も決定した。
3月13日にはトランプ大統領が国家非常事態を宣言し、ウイルスの検査・治療態勢強化などに500億ドルを投入することを決定。民主党が策定した数十億ドル規模の経済対策法案も承認した。
入国制限など政府の感染抑制策が経済面で大きな犠牲を強いる中、今度はFRBが金融当局として経済の下支えと金融市場の混乱抑制のための政策を総動員したことになる。
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