自己肯定感のある人の「運を掴む力」が高い理由 自分で考えて自分で選ぶから開くサードドア

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『サードドア』のラストは「インタビューを追い求めてきた日々はもう終わる。でも、より大きなミッションは、まだスタートしたばかりだ」と締められて、これからも旅が続いていくことが示されていますね。

この本がベストセラーになって、多くの人は「アレックス・バナヤンは『成功』というカードを引いた人」と思うのかもしれません。でもアレックス本人は、自分が成功したとは考えていないと思います。

失敗しても、なにかを成し遂げても、つねに次の手を考えて進みつづけていくという感覚を持つ人だと思いますし、「成功」というカードがあって、それさえ引けば成功すると思っている人とは、根本的に人生の歩き方がまったく違うのです。私もそうありたいと思っています。

自分の選択で、自分の足で立った瞬間がサードドア

人生において大事なことは、何事も自分で考えて自分で選ぶ、つまり腹をくくるということだと私は考えています。

「お母さんにこう言われたからやらなかった」「あの人がこう言うからやってみた」というふうに、誰かに言われたことばかりをやっていると、他人の出した答えに乗って歩くことになります。それでは、その道が自分にとってベストかどうかわかりませんよね。

どの瞬間かわからないけれど、頭で理解するんじゃなく、自分の選択で、自分の足で立った瞬間がサードドアなんだと思います。

アレックスは、親の言うままただ医者になることだけが自分のベストだとは考えない人だからこそ、家族に反対されてもインタビューの旅に出ることを選びました。「自分が選んだからには」ということで、粘り強く奮闘することもできて、結果的にサードドアを開けたわけです。

自分で選んだことだからこそ、失敗しても改善策が見つけられますし、続けていくことができる。他人の答えに乗っているだけだと、「あの人がああ言ったからこうなってしまったんだ」と過去にもどって他人のせいにしがちです。

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私は、住む場所も会社も、すべて自分で考えて自分で選んできたという自覚があります。だから、新しくなにかを始めるときの不安は感じますが、不満はありません。自分の選んだことを、どうベストにしていこうかというふうに未来を考えることができるからです。

現在は新型コロナウイルスで予断を許さない状況ですが、ここからまた時代が変わるのだろうと感じています。いままでの常識がすっかり変わることもあるでしょうし、私たちが知っていたバランスも相当崩れるでしょう。その中には、必要ないものに気づくこともあると思います。

こういうときこそ、仕事のうえでも、思想をもとに自分で考えたベストを尽くしていこうと思っています。今までやってきたことをそのまま続けることだけが正解ではなく、「そもそも今、これは誰の役に立っているのか」という本質的なことを考えなければなりません。これからも旅は続いていきます。

(構成/泉美木蘭)

村上 萌 コミュニティメディア「NEXTWEEKEND」代表

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むらかみ もえ / Moe Murakami

「季節の楽しみと小さな工夫」をコンセプトに掲げるコミュニティメディア「NEXTWEEKEND」代表。ウェブサイトの運営をはじめ、連動した雑誌の刊行や週末イベント、ECストアの運営、その他空間や商品などのプロデュースを手がける。コーヒースタンド「GARTEN COFFEE and Seasonal Wishes」を東京・神宮前のオフィスに併設。著書に『カスタマイズ・エブリデイ』『深夜の、かけこみ横丁』、雑誌『NEXTWEEKEND』『週末野心手帳』など。

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