アメリカの砂漠、1970年代に車で横断した記憶 大自然の描く壮大なドラマだったが飽きも

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原さんと僕は、砂漠の旅そのものが好きなので、同じような景色がいくら続いても退屈などしない。いや、楽しくて仕方がない。

しかし、奥様方はそうはいかなかった。3日目辺りから雲行きは怪しくなってきた。

それはそうだろう。なにせ、行けども行けども広大な砂漠が続くだけ。変化があるとすれば、いろいろな形のサボテンが次々現れることくらいしかない。

町はあるが、1~2分で通り過ぎてしまうような町がほとんど。それも、ほこりっぽい町ばかりだし、気の利いた店など当然ない。西部劇時代のたたずまいをそのまま引きずっているような町とでも言えばいいのだろうか。

西部劇と言えば、ハイウェイ沿いの小さなレストランに入ったとき、カウンターの端に1脚だけ、妙に古ぼけたいすがあった。近寄って見ると「ジョン・ウェインの座ったいす」のプレートと「座ってはダメ」の張り紙が。

原さんと僕は、こんなことも「いいなー!」となるのだが、奥様方は「あっ、そう……」とまるで乗ってこない。

砂漠が続く中、突然のアクシデント

アルバカーキから、メキシコと国境を接するエルパソまで南下。そこから西に進路を変えた。が、相変わらず広大な砂漠が延々と続く。

そんな中、突然、家内が歯の痛みを訴えた。持っていた痛み止めはまったく効かない。その日は、確かツーソン辺りで泊まろうかと思っていたのだが、急遽変更。

アリゾナの州都なら大きな病院があるはずと思い、フェニックスに向かった。夜の道を飛ばせるだけ飛ばして、夜中を少し回った辺りに救急部門のある大きな病院に着いた。

手続きはすぐできたし、保険も使えた。フェニックスまで飛ばしたかいがあった。

次ページ救急外来の待合室が「ありえない!」光景だった
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