アメリカの砂漠、1970年代に車で横断した記憶 大自然の描く壮大なドラマだったが飽きも
スタートではつまずいたが、旅は予定どおり進んだ。初日はLA郊外のモーテルに飛び込みで泊まった。LAは珍しく濃霧に包まれ、いつもとはまるで違う表情を見せていた。
モーテルはこじんまりした木造の小屋風。変わった形のプールを囲むように建てられたそれは、濃霧とも相まって、山小屋にでも行ったかのような不思議な感覚として覚えている。
旅のスケジュールはなにも決めていなかった。「とりあえずはグランドキャニオンを見よう」と西に向かってスタートした。
広大な砂漠、沈む夕日…大自然の描く壮大なドラマ
LAを抜けて内陸部に入ると、すぐ砂漠が広がる。広大な砂漠の中をゆったりとうねるインターステート・ハイウェイは、アメリカ西部の最も特徴的な景観のひとつだ。
奥様方も、はじめのうちは「わーっ、すごい!」「こんなスケール感って初めて!」などと楽しんでいた。
時折出合う小さな町にも「映画のセットみたい!」と、楽しそうだった。
砂漠に沈む夕陽を心ゆくまで味わおうと、場所を選んでクルマを停めた。アイスボックスに入れた飲み物とお菓子を持ってクルマから降り、大自然の描く壮大なドラマを楽しんだ。
その夜は砂漠の中の町の小さなレストランで夕食を食べ、小さなモーテルに泊まった。
夕陽のドラマ、小さな町の小さなレストラン、モーテル……これまた奥様方にウケた。初めての経験が物珍しく、楽しかったのだろう。息子も同様な反応だったように思う。
原さんも僕も、こうした反応にホッとした。ある種単調な砂漠の旅に、「NO !」が突きつけられるのではないかと心配していたからだ。その意味では、上々の滑り出しだった。
2日目はグランドキャニオンに真っすぐ向かった。ビューポイントから見たグランドキャニオンの景観にはただただ圧倒された。
馬の背に乗ってのキャニオンツアーでも体験すれば、もっと強烈な体験ができたのだろうが、奥様方の拒絶は明らかだったので、言い出すのはやめることにした。