新型コロナの「経済対策」はどうあるべきか 高齢者への給付や追加公共事業が感染を助長

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高齢者は受け取った給付金をどのように使うのか。そもそも、今回の感染拡大で、退職した高齢者は何か大きな経済的打撃を受けたのだろうか。

大半の高齢者はそうではない。働く現役世代は、さまざまな経済活動の自粛や学校の休校により、休業を余儀なくされたり、仕事がキャンセルされたりして、所得の減少などの悪影響を受けている。

経済的打撃を受けているところにこそ、経済対策を講じるべきで、そうでないところにまで予算をつける必要はない。

追加の公共事業は感染拡大を助長する恐れ

退職した高齢者の主な収入源は年金で、給料を受け取ってはいないのだから、今回の感染拡大で所得は減っていないはずだ。高齢者は、新型コロナウイルスの感染によって重症化するリスクが高いと言われる。従って、給付金を受け取って観光に出かけるなど、感染拡大防止の観点からしてもってのほかである。だから、消費税を減税して高齢者の消費を下手に喚起するのではなく、同じ財源を経済的打撃を受けた人に集中して支援した方が効果的だ。

公共事業の積み増しも、感染拡大を助長する恐れがある。ただでさえ、公共事業は2019年度補正予算と2020年度当初予算で大きく積み増されている。2019年12月に打ち出した総合経済対策で、事業規模7兆円の公共事業が盛り込まれている。

公共事業を増やすには、建設現場での作業を増やす必要がある。感染拡大防止の観点から、デスクワークをできるだけリモートワークにして、多くの人が一堂に会さないようにしている。そんな状況下で、建設現場を増やすことになる公共事業の積み増しは問題ないのだろうか。

今回必要とされる経済対策は、過去の経済対策とは事情が異なることを踏まえなければならない。過去の経済対策の狙いは、人々の経済活動をより活発にすること。極言すると、人々がより多く会する機会を増やすことにあった。しかし、今回必要なのは、感染拡大を防止しながら経済的打撃を受けた人を助ける対策である。過去の経済対策の中には両方が混在しており、今般はそれらを区別しなければならない。

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