「去年10月の消費税増税の影響で乗客数は微減。増税の影響か、稼ぎ時である年末の利用客も例年より少なかった。そして、年が明けてからのコロナウイルスが決定打となりました。年々厳しくはなっていましたが、懐具合はしんどくなる一方です。
感覚的には少なくみても3割減、実際は4割以上利用者数は落ちていると思いますよ。都心部でこれですから、地方は一層悲惨な状況でしょう。なにせ、新宿ですらこれだけ人がいないんですから……」
この1カ月間、筆者は繁華街を中心に都内複数の場所で5度タクシーを利用した。聞こえてくるのは、「1日の収入が5000円を切る。食べていけない」「一時的な休業も検討している」「先が見えない。感染症が収まっても数カ月は同じような状況では」「大きなイベントが軒並み中止となり、東京に来る人も激減している」など暗い話ばかりだ。
銀座で拾ったタクシーのドライバーは、こんなふうに心境を漏らしていた。
「正直、普段であれば外国人や、短い距離での乗客を嫌うドライバーも少なくない。でも、今はそんな考えはぜいたくで間違っていたな、と気づかされましたよ。コロナが発覚してから、外国人観光客は壊滅的な状況。最近では当たり前のよう増えていた、外国人観光客のありがたさが身に染みた。とくに銀座は外国人の恩恵が大きかった場所でもあり、モロに影響を受けている。実際、売り上げは半分以下に落ち込みましたね」
昼間の高齢者の利用は落ちていない?
タクシー業界全体が打撃を受けているのは間違いないが、地域によりコロナの影響に差異はあるのかもしれない。神奈川県の川崎でもタクシーを利用する機会があった。時間にすれば15分程度の車中滞在だったが、ワンボックス型でバリアフリー対応車の個人タクシードライバーは、利用客の母数自体は大きく変わらない、とも話していた。
「たぶんね、コロナウイルスにいちばん敏感で、恐怖を感じているのはタクシードライバーじゃないかな、と思うんですよ。タクシードライバーの仕事って、高齢者が多いでしょ。もし感染症にかかれば、死に直結する可能性もある。もちろんコロナは怖いんですが、仕事を休むという選択肢は私にはありません。地域柄なのか、同業に聞いても深夜の売り上げは落ちているんですが、日中の乗車数自体は落ちている感覚はあまりないんです」
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