武漢発ショックでも「中国重視」は変わらない 下方修正ラッシュ必至、記者が語る電機業界

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デスク)半導体はどうかな?

C)半導体製造装置業界団体のSEMIが3月9日、半導体前工程装置の投資額予測を発表した。2020年の投資額は前年比3%増にとどまるとみており、もともと2桁増の見通しだったが、まさにコロナで中国への投資額が減少しているとの理由で大幅修正した。

ただし、2020年後半には回復し、2021年には22%増と大幅回復するとみている。実際、2020年は台湾のTSMCが投資で牽引し、2021年になるとサムスンとSKハイニックスの投資も加わる。

B)5Gで使われる半導体に投資しているTSMCは生産のほとんどを台湾でやっている。台湾はコロナ感染拡大を抑えているので、5G需要でそれなりに半導体製造装置に対する投資をしてくる。

A)半導体製造装置はメイン顧客がTSMCであることから、中国依存度もそんなに高くない。半導体投資は需要サイドの動きよりも最先端プロセスへの投資が中心で、そこはしっかり投資されているので、コロナウイルスによる大きな影響はないとみていい。

「中国離れ」は進むのか

デスク)5Gの成長シナリオが崩れることはない?

B)世界的な景気減速に波及するとなると厳しい。ただ通信事業者は自ら需要を作っていくので5Gが失速することはないとみている。スマホは景気悪化しても、みなさん解約しないでしょ(笑)。

デスク)工作機械はどうかな?

C)生産がまったく止まっているわけではない。3月までの納入はできるようになっているが、その先がわからない。

B)オムロンやキーエンスなどFA(ファクトリーオートメーション)は2020年度に回復する見込みだったが、コロナショックで顧客の設備投資に期ずれが大量に発生するとみている。おそらく2020年度の上期はかなり悲観的になると思う。

C)工作機械はリードタイムを半年とか長くみているので、収束した先に需要が大きくなる。5Gや半導体で需要が戻るシナリオだ。

デスク)コロナショックを機に中国離れは進むのかな?

B)例えば、5~10年先を考えると、サプライチェーンの中国依存を見直して東南アジアに工場を移していく可能性はある。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

C)脱中国」は昔からずっとテーマとしてある。それが加速すると思う。中国の人件費は上昇しており、工場の自動化やFAの勢いも強くなるだろう。

デスク)一方で、思った以上に中国依存が続いていることに驚かされたね。

B)労働者の熟練度が増していることが背景にあると思う。中国の労働者は質が高く、簡単に生産拠点を移せない。アップルは中国工場を動かしたいと鴻海に打診してもできなかった。インドでは廉価版しか作っておらず、中国でないと高機能品は作れないことを証明した格好だ。

スマホは最先端であればあるほど部品が小さくなり高度になる。現場を仕切るマネジャーの質も上がっている。「脱中国」でインドなどのネクストフロンティアへ生産拠点が移るにしても、もっと先になるのではないかと思う。中国も、今のような状況になるのに20年以上かかっている。

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