条件がそろえば不正はいつでも起きる
――リモートワークのセキュリティリスクにはどんなものがありますか?
一般的には、3つくらい指摘できると思う。まずは社員による不正だ。自宅など会社以外の場所で仕事をするので、社内にとどめていた情報に外からアクセスできるようになる。それによって、意図的な持ち出しがやりやすくなる懸念がある。
ただこれは、リモートワークにしたからすごくリスクが高まるという性質のものでもない。最近も百十四銀行(香川県)で複数の行員が逮捕されたが、オフィスから機密情報を持ち出して金銭を得るといった事件はいくらでもある。別に自宅からでなくても、条件がそろえばやる人はやる、ということ。
むしろここで確認すべきは、社員が社内のどの情報にアクセスできる状態になっていたか、印刷やUSBでの持ち出しを許可していたか、これらの閲覧履歴が残るように設定していたか、だ。リスクを減らすには、社員に対して、業務上必要最低限なものだけにアクセスを許可すること。そして誰がいつ見たか、履歴を取っておくことだ。
さらに言えば、これら対策を徹底していると、きちんと社員に示すことが重要。これは見落としがちだが、抑止効果は小さくない。社外からも仕事ができるとなると、「不正をしてもバレないのでは」という心理的なハードルは下がる。だからこそ「この会社では普段からちゃんと見ているぞ」という姿勢を示すことでケアしておきたい。
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