武漢発ショックでも「中国重視」は変わらない 下方修正ラッシュ必至、記者が語る電機業界

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デスク)レッツノートは台数こそ少ないけど、堅牢性が高くて営業現場やマスコミでは人気があるよね。

B)そう。レッツノートはカスタマイズして付加価値を出していることが特徴だけど、逆にいうと部品が多岐にわたって、一種類あたりの在庫が少ない。部品サプライヤーは限られた在庫を大口受注のパソコンメーカー向けに供給することを優先する一方、製造台数が少ない日本メーカーは後回しにされがちだ。

日本ではテレワークや学校のプログラミング需要などでパソコン市場が数年に一度の特需で盛り上がっているけど、今の状態が続けば、パナソニックに限らず、パソコンメーカーは売るモノがないということが現実にありうるかもしれない。

C)家電製品は部品調達がとても複雑。どの部品を、サプライチェーンのどの段階で、だれが、どれぐらい在庫を持っているかを把握するのが難しい。最終製品を供給するパナソニックが直接在庫を持つのではなく、中間事業者が流通在庫として持つ場合が多い。そのため局所的に入ってこない部品もある。

ただ、今回の件で改めて実感したのは、家電製品の多くが予想以上に中国のモノを使っているということだ。

iPhone関連は業績下押しが必至

デスク)そういう意味で、パナソニックは中国戦略を見直さないの?

A)生産のサプライチェーンを見直すことはあると思うが、中国重視は転換しないと思う。パナソニックが今進めている戦略は、モノを単に売るのではなく、消費者にどういう暮らしを提案するかにある。暮らし方を提案するため、IoT(モノのインターネット)がかなり進む中国で最先端の家電を売り込もうとしていた。

そして、それをトレンドにして世界に売ろうとしていたのがパナソニックだが、その計画が遅れる可能性はあると思う。

デスク)iPhoneの生産遅れの影響も出ているよね?

B)村田製作所は営業利益の下押しが相当程度出てくると思う。業績は間違いなく下押しされる。iPhoneだけでなく、世界のスマホ工場は中国に集まっている。

TDKやアルプスアルパインなど、スマホに部品を供給している主要な会社は少なからず影響は避けられない。今後業績修正ラッシュがあるはずだ。

A)3月末に中国にある工場は稼働がほぼ通常通りに回復する見込みと鴻海精密工業は明言している。中国の新規感染者数は1日十数人程度に減っているように見える。

電子部品メーカー各社は5G需要が牽引して、今下期に回復するというV字回復シナリオは崩していない。5G基地局も設置が増えて需要は増える。

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