東村アキコが「お稲荷さん」を本気で描いた理由 「苦もなくできることは誰にでも絶対にある」
――どんなアシスタントさんを選んで採用されているんでしょうか?
何か好きなものがある「オタク」な人じゃないとダメですね。「君のメインジャンルはなんなの?」っていうのをいちばん最初に聞くようにしています。好きなものに対して我が強い人でないと、面白くないし、突き詰められないですよね。
――東村さんは『偽装不倫』を発表する際、先にスマホアプリで無料公開(2017年11月~2019年9月)した後に紙で書籍化して販売するなど先駆的な取り組みに挑戦してこられた印象があります。今のインターネット、デジタル時代における漫画の置かれた状況をどうご覧になっていますか。
あれを始めた頃は、漫画を無断で掲載していた海賊版サイトの「漫画村」が跋扈(ばっこ)して、売り上げが落ちていた時期で、海外で漫画を売らないとお金が入らなくなると思っていました。漫画村は2018年4月に閉鎖されましたが、新しいことにチャレンジしていこうと思っています。グズグスしていても時代は進む一方でしょ? 戻ったことなんて1回もないんだから、適応していかないとしょうがないですよね。
これからは無料で読んでもらってはやらせた後に、映像化やグッズにしたり、どうマネタイズしていくかが大事ですね。子どもたちのお小遣いからお金をもらうことは考えず、大会社からお金をもらって描くというように切り替えないといけないと考えています。これからはポイントという名のお金をあげて読んでもらう時代が来るかもしれませんね。
「50歳で辞めて新聞の4コマ漫画を描きたい」
――東村さんはいつまで漫画を描き続けるつもり?
今44歳ですが、「50歳で辞める宣言」をしています。息子の大学の入学金を払ったらもう辞めたいですね(笑)。
漫画家はみんなそうですが、私は20代前半から、20年間ずっと締め切りがある生活を続けています。それがつらかったわけではないですが、人生一度きりなので、締め切りがない生活を送ってみたいです。50歳で一区切りつけたら、新聞の4コマ漫画を描きたいです。私だったら4コマ漫画に時事ネタを盛り込んで、オチを畳みかける2段オチの漫画を描きますよ。
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