中国36歳コロナ患者が「退院後に死亡」の顛末 武漢のコンテナ病院は退院を一時ストップ

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2月8日、李亮はホテルの隔離施設に移送された。2日後、施設で核酸検査を受けると、当日夜に陽性と判明。医師は消炎剤などを処方した。

2月12日、李亮は軽症患者として隔離施設からコンテナ病院に移った。妻の王梅は、「夫の症状はわずかな発熱とせきくらいで、コンテナ病院に移った後はそれまでの病院で処方されていた薬は服用せず、漢方薬だけで治療を行った。当初は朝晩に肺炎3号(訳注:新型肺炎の治療用に開発された漢方薬の1つ)を服用し、その後2号に切り替えた」と振り返る。

王梅は、夫の熱はすぐに下がり、せきも減ったため、コンテナ病院で行われた漢方治療は効果的だったと考えていた。

CT検査で肺に「密度の高まった影」

李亮は2月20日と23日にコンテナ病院で核酸検査を受け、いずれも陰性だった。23日に再びCT検査を受けた。報告書には、「両方の肺に密度の高まった影が多く見られる。大部分はすりガラス状の密度だが、一部は網状に変わった。大部分が胸膜の下にあり、両方の肺の下葉に小結節の病巣が見られる。最大0.4cmで、再検査を勧める」と記載されていた。

その後、病院は李亮が2月26日に退院できると決定した。退院に関する25日付けの中間総括には、「李亮氏は13日間入院し、症状に合った治療を経て、3日以上体温が正常に戻り、呼吸器の症状も顕著に改善した。核酸検査の結果は2回続けて陰性で、酸素吸入なしでの指尖酸素飽和度が95%を超えたため、専門家チームの評価に基づき、退院を許可した」と書かれている。

国家衛生健康委員会は2月28日、『新型コロナウイルス肺炎の診療方案(試行第6版)』を発表した。退院の基準は、「体温が正常に回復して3日以上、呼吸器症状が顕著に改善、肺部レントゲンの急性滲出性病変が顕著に改善、呼吸器病原体の核酸検査で2回連続の陰性(検体採取の間隔は最短24時間)」の4カ条だ。3月3日に更新された第7版の診療基準でも、4カ条は変更されていない。

ある匿名希望の中国疾病予防管理センター(CDC)の専門家は、李亮の退院は早すぎたと考えている。「2月23日のCT検査では、典型的な新型肺炎の影が見られた。どうして2日後の25日に退院できたのか」と話す。

武漢市のある医師もCT検査の問題を指摘する。一部の病院では、患者が退院の4条件を満たしているかを判断する際に、「CTの結果を考慮する比重が最も小さい」という。

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