家の災害対策で「在宅避難」がカギとなる理由 最先端の備えを導入した「ZEH+R」も登場

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なお、ZEHは躯体全体の断熱性能が強化されているため、地域にもよるが、仮に冬期に被災したケースでも、少ないエネルギーで暖かな室内環境とすることが期待できる。そのため、「ZEH+R」でなくても災害への備えとなる。

ただ、ZEH+Rの仕様はもちろん、太陽光発電や家庭用蓄電池を導入する場合、費用負担は相当大きくなってしまう。そう考える方には、設計の工夫を行うだけでも災害への備えができるので紹介したい。例えば、「ローリングストック」がしやすい収納の設置だ。

ローリングストックとは

これは、普段から多めに食材や飲料水などを購入しておき、使った分を新しく買い足し、つねに一定量を備蓄するという手法だ。例えば、1週間分の備蓄ができる大容量であればなおよく、かつキッチンなどとの動線も考慮に入れたものなら、普段の暮らしにも役立つ。

キッチンの近くに大容量収納があれば「ローリングストック」もしやすくなる(筆者撮影)

非常食は食べ慣れないものだけに、小さな子どもなどには向かないケースがある。この手法であれば、普段食べ慣れたものだから、問題も起きにくいというメリットもある。これは新築はもちろん、リフォームの際にも導入しやすい。

ところで、これから住宅取得をするという人にお勧めしたいのは、住む所と災害対策をリンクすることだ。というのも、ZEH+Rをはじめとするハイレベルな災害対策が施された住宅に住んでいても、災害リスクが高い地域であればその効果に限界があるためだ。

東日本大震災以降、各自治体が細かく地域のリスクを表示したハザードマップを公開するようになった。それらを参考に、土地選びから災害への備えを行うことも有効だろう。加えて、コミュニティーに注目することも大切だ。

積水ハウスが開発した戸建て分譲地で実施された防災訓練の様子(筆者撮影)

新興住宅地の中には、住宅事業者が開発当初から自治体組織の形成や、コミュニティー内での防災訓練を実施するなどの仕組みづくりを行っているケースがあり、そうした住宅地であればコミュニティー全体で災害時の苦難を乗り越えられる可能性がある。

また、防災活動を含め、コミュニティーの結びつきが強い既存住宅地も各地にある。新規に住宅を取得する場合だけでなく、マンションや賃貸住宅に居住する方々にとっても注目していただきたいことだ。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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