家の災害対策で「在宅避難」がカギとなる理由 最先端の備えを導入した「ZEH+R」も登場
太陽光発電による備えをさらに強化するものが家庭用蓄電池の導入だ。太陽光による電力や通常電力をためることで、夜間や天気が悪い日中でも電気を使うことができ、さらに太陽光発電だけのケースより、さまざまな家電や設備を利用できるようになる。
家庭用蓄電池より、さらに充電容量が多い電気自動車を活用し、住宅と車の間で電力のやり取りができるV2H(Vehicle to Home)というシステムも普及し始めている。これがあれば、停電時でも通常に近い電力使用ができる可能性が高まる。
このほかに、太陽光発電と蓄電池、家庭用燃料電池(エネファーム)による「3電池」もある。エネファームはガスにより給湯と同時に発電も行う高効率なシステム。太陽光発電が発電しない雨天や夜間でも発電できるため、使える家電などの幅を広げることができる。
ちなみに、ガスは電気に比べ復旧に時間がかかると言われているが、それは都市ガスのケースだ。状況によるが、プロパンガスの場合はガスボンベの点検と交換程度の手間ですむため、電気より早く復旧することもある。
断水への対策も始まっている
さて、断水は一定規模の災害では起こりやすく、飲み水、生活用水が確保できないことには在宅避難はおぼつかなくなる。そこで昨年くらいから、普及が始まったのが貯水システムだ。形状、設置場所はさまざまなものがある。
通常は水道→貯水槽→キッチンなどという経路で水が供給される仕組みで、断水時は貯水タンクからポンプで水を汲み上げ利用できるようにしたものだ。3日分程度の水をまかなえるものもある。
このほか、生活用水の確保についてはエコキュート(ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かす電気給湯機)や、前述のエネファームのタンクから取り出すことができるようになっている。
以上は近年のハード面での今ある災害対策であるが、国は昨年からこれらの設備を採り入れた住宅を「ZEH+R(ゼッチ・プラス・アール)」と銘打ち、補助金を設けるなどして普及の推進を始めている。
ZEHとは「Net Zero Energy House」の略で、躯体の断熱性・省エネ性能の強化、太陽光発電などによる創エネにより、年間の1次消費エネルギー量の収支をプラスマイナスゼロにできる住宅のことを言う。現在の新築住宅のスタンダードと目されているものだ。
「R」はレジリエンス(Resilience)の頭文字を取ったもので、一般的には「適応能力」などを意味し、住宅の場合では「災害時でも持続して暮らせる」といった意味合いになる。
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